両側声帯麻痺への対応 -ビデオラリンゴスコープ下のEjnell法を中心に

「1. はじめに」 両側声帯麻痺では, 両側声帯は正中近くで固定することが多いため, 高度の吸気性呼吸困難を生じ, 常に窒息のリスクを背負うことになる. 緊急時は躊躇なく気管切開術を行うなど, 気道確保を最優先として対応するが, その後, 声帯運動の改善が期待できず, 患者側から音声をある程度犠牲にしても, 気管切開口を閉鎖して欲しいとの訴えがある場合などには, 声門開大術の適応を検討する事になる. 両側声帯麻痺に対する声門開大術には, いくつかの術式があるが, 後方拡大術の中で, 声帯外方移動術(Ejnell法)は比較的よく実施されている術式である. 本稿では, 両側声帯麻痺に対するEjne...

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Published in喉頭 Vol. 33; no. 2; pp. 104 - 107
Main Author 原, 浩貴
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本喉頭科学会 01.12.2021
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ISSN0915-6127
2185-4696
DOI10.5426/larynx.33.104

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Summary:「1. はじめに」 両側声帯麻痺では, 両側声帯は正中近くで固定することが多いため, 高度の吸気性呼吸困難を生じ, 常に窒息のリスクを背負うことになる. 緊急時は躊躇なく気管切開術を行うなど, 気道確保を最優先として対応するが, その後, 声帯運動の改善が期待できず, 患者側から音声をある程度犠牲にしても, 気管切開口を閉鎖して欲しいとの訴えがある場合などには, 声門開大術の適応を検討する事になる. 両側声帯麻痺に対する声門開大術には, いくつかの術式があるが, 後方拡大術の中で, 声帯外方移動術(Ejnell法)は比較的よく実施されている術式である. 本稿では, 両側声帯麻痺に対するEjnell法の特徴・利点, 手術適応の他, 手術のポイントについて, 我々が行っているビデオラリンゴスコープ下のEjnell法の実際と若干の工夫とともに解説する.
ISSN:0915-6127
2185-4696
DOI:10.5426/larynx.33.104