胆嚢結石症における胆嚢温存療法の意義

胆嚢温存療法(経過観察,経口胆汁酸溶解療法,ESWL)について症状の発現の有無や治療効果を検討し,胆嚢温存療法の意義を明らかにした. ESWLでは,その適応を80%以上の消失率とすると,超音波分類のI型単数個あるいはIa型がこの条件をみたした.累積再発率は13年で44%にみられ,ESWLの選択にあたっては消失率に再発を加味した検討が必要であると考えられた.胆汁酸溶解療法は,CT石灰化陽性石は完全消失が得られる確率はほとんどなかった.CT石灰化陰性石では30%以上の完全溶解率が得られ,溶解療法の適応であると考えられた.胆嚢結石の自然経過観察では,有症状群に比し有意に無症状群で有症状化率が低かった...

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Published in胆道 Vol. 18; no. 2; pp. 114 - 118
Main Authors 杉浦, 信之, 阿部, 朝美, 税所, 宏光
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 31.05.2004
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando1987.18.2_114

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Summary:胆嚢温存療法(経過観察,経口胆汁酸溶解療法,ESWL)について症状の発現の有無や治療効果を検討し,胆嚢温存療法の意義を明らかにした. ESWLでは,その適応を80%以上の消失率とすると,超音波分類のI型単数個あるいはIa型がこの条件をみたした.累積再発率は13年で44%にみられ,ESWLの選択にあたっては消失率に再発を加味した検討が必要であると考えられた.胆汁酸溶解療法は,CT石灰化陽性石は完全消失が得られる確率はほとんどなかった.CT石灰化陰性石では30%以上の完全溶解率が得られ,溶解療法の適応であると考えられた.胆嚢結石の自然経過観察では,有症状群に比し有意に無症状群で有症状化率が低かった.胆嚢結石症は無症状で経過することが多く,治療選択にあたっては,どの治療においても慎重な対応が必要である.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando1987.18.2_114