片麻痺患者 (脳卒中後遺症) の末梢血行に及ぼす温泉治療の効果

「諸言」脳卒中後遺症としての片麻痺患者の麻痺側に入られる皮膚温低下浮腫発汗あるいは唾液分泌量の増加などは, 自律神経機能障害に基づくものと思われる. われわれは脳卒中後遺症としての片麻痺患者の末梢血行動態について観察し, 麻痺側が健側よりも指血流量が小さく, 末梢血管抵抗が大であったことから, 麻痺側の細動脈は健側に比較して"収縮した状態"にあると考えられることを報告した. しかも, この事実は, 恐らくは対側の大脳皮質におけるautonomic representationからの衝撃が杜絶されたための脱落現象であって, 大脳皮質のautonomic representat...

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Published in日本温泉気候物理医学会雑誌 Vol. 33; no. 3-4; pp. 91 - 97
Main Authors 西城, 精一, 渡辺, 康克, 木村, 勲, 花野, 明, 滑川, 五郎, 加藤, 政孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本温泉気候物理医学会 1970
日本温泉気候物理医学会
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ISSN0029-0343
1884-3697
DOI10.11390/onki1962.33.91

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Summary:「諸言」脳卒中後遺症としての片麻痺患者の麻痺側に入られる皮膚温低下浮腫発汗あるいは唾液分泌量の増加などは, 自律神経機能障害に基づくものと思われる. われわれは脳卒中後遺症としての片麻痺患者の末梢血行動態について観察し, 麻痺側が健側よりも指血流量が小さく, 末梢血管抵抗が大であったことから, 麻痺側の細動脈は健側に比較して"収縮した状態"にあると考えられることを報告した. しかも, この事実は, 恐らくは対側の大脳皮質におけるautonomic representationからの衝撃が杜絶されたための脱落現象であって, 大脳皮質のautonomic representationから延髄の交感神経性血管収縮中枢への抑制がとれることによるのであろうと解釈した. 脳卒中後遺症としての片麻痺患者に温泉療法を実施し, あるいはリハビリテーションとして温泉浴を実施することは, 古くから試みられ, 多くの業績が報告されている. われわれも片麻痺患者を対象として, 温泉浴の末梢血行動態に及ぼす影響を観察し, 以下の結果を得たので報告する.
ISSN:0029-0343
1884-3697
DOI:10.11390/onki1962.33.91