W3-2  破骨細胞における抗アポトーシスBcl-2ファミリー分子Mcl-1の働き

【目的】Mcl-1はBcl-2 familyに属する蛋白の1つであり,様々な細胞においてアポトーシスを抑制する働きを持つことが知られている.しかしMcl-1の破骨細胞における働きは明らかになっていない.本研究ではMcl-1強制発現やノックダウン,ノックアウトなどの手法を用いることで破骨細胞内でのMcl-1の動態およびその働きについて検討した. 【方法】野生型マウスから採取・培養した破骨細胞に様々なサイトカイン刺激を行い,Mcl-1タンパクの動態を評価した.Mcl-1発現レトロウイルス,アデノウイルスを用いてMcl-1を強制発現,あるいはsiRNAを用いて発現を抑制し,破骨細胞の細胞生存能・骨吸...

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Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 35; no. 4; p. 304b
Main Authors 増田, 裕也, 田中, 栄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2012
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ISSN0911-4300
1349-7413
DOI10.2177/jsci.35.304b

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Summary:【目的】Mcl-1はBcl-2 familyに属する蛋白の1つであり,様々な細胞においてアポトーシスを抑制する働きを持つことが知られている.しかしMcl-1の破骨細胞における働きは明らかになっていない.本研究ではMcl-1強制発現やノックダウン,ノックアウトなどの手法を用いることで破骨細胞内でのMcl-1の動態およびその働きについて検討した. 【方法】野生型マウスから採取・培養した破骨細胞に様々なサイトカイン刺激を行い,Mcl-1タンパクの動態を評価した.Mcl-1発現レトロウイルス,アデノウイルスを用いてMcl-1を強制発現,あるいはsiRNAを用いて発現を抑制し,破骨細胞の細胞生存能・骨吸収能に与える影響を評価した.また,Mcl-1flox/floxマウスから採取・培養した破骨細胞にCre発現アデノウイルスを感染させたMcl-1ノックアウト破骨細胞においても同様の評価を行った. 【結果および考察】M-CSF, RANKL, TNF- IL-1等の添加によって破骨細胞におけるMcl-1発現の増加がみられ,さまざまな骨代謝疾患や炎症性疾患においてMcl-1が関与している可能性が示唆された.レトロウイルスやアデノウイルスを用いてMcl-1の発現量を増加させた破骨細胞の細胞生存能は亢進したが,骨吸収能は低下した.これとは逆にMcl-1の発現量をノックダウンやノックアウトによって減少させた破骨細胞の細胞生存能は低下し,骨吸収能は亢進した.以上の結果より破骨細胞においてMcl-1は細胞生存能に対しては正の制御を行うが,骨吸収能に対しては逆に負の制御を行う事が明らかになった.
ISSN:0911-4300
1349-7413
DOI:10.2177/jsci.35.304b