P8-15 原発性免疫不全症の年齢による特徴 ~XLAとCVIDを中心に
近年,原発性免疫不全症の予後は改善し成人例も増加しており,2008年の疫学調査では成人例(20歳以上)は263名(28.4%)が報告された.これまで成人例に関する報告はわずかしかなく,疫学調査結果より成人例の追加解析を行い,特に成人例の多いX連鎖無ガンマグロブリン血症(XLA)と分類不能型免疫不全症(CVID)を中心に解析した.成人と小児例を比較すると,XLAでは成人例で気管支拡張症・難聴の合併が多くみられたが,CVIDでは悪性疾患,自己免疫疾患,気管支拡張症などの重篤な合併症の差はみられなかった.一方CVIDでは15歳未満での発症例が重篤な合併症を持つ傾向にあったが,15歳未満発症例では罹病...
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Published in | 日本臨床免疫学会会誌 Vol. 36; no. 5; p. 415b |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床免疫学会
2013
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0911-4300 1349-7413 |
DOI | 10.2177/jsci.36.415b |
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Summary: | 近年,原発性免疫不全症の予後は改善し成人例も増加しており,2008年の疫学調査では成人例(20歳以上)は263名(28.4%)が報告された.これまで成人例に関する報告はわずかしかなく,疫学調査結果より成人例の追加解析を行い,特に成人例の多いX連鎖無ガンマグロブリン血症(XLA)と分類不能型免疫不全症(CVID)を中心に解析した.成人と小児例を比較すると,XLAでは成人例で気管支拡張症・難聴の合併が多くみられたが,CVIDでは悪性疾患,自己免疫疾患,気管支拡張症などの重篤な合併症の差はみられなかった.一方CVIDでは15歳未満での発症例が重篤な合併症を持つ傾向にあったが,15歳未満発症例では罹病期間が長く,合併症との関連が示唆された.QOLや予後にかかわる気管支拡張症はXLA(11/133例)と比べCVID(20/92例)で合併が多く(p=0.0038),罹患率は高率であった(CVID:0.016/年,XLA:0.007/年).CVIDではXLAと比べ診断から気管支拡張症発症までの期間が短く(p=0.04),抗体不全以外の免疫異常や診断の遅れが背景にあると考えられた. |
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ISSN: | 0911-4300 1349-7413 |
DOI: | 10.2177/jsci.36.415b |