各科手術での使用:心臓・大血管手術

デスフルランは1.5MAC以上へ急激に濃度を上昇させることにより,一過性の交感神経刺激作用を有することが知られている.しかし,1MAC程度の使用であればそれは問題とならず,他の吸入麻酔薬と同様,安全に麻酔管理が可能である.心臓手術中には胸骨正中切開,心膜切開,大動脈操作時など血圧が上昇しやすい時期がある.疼痛刺激などに対する血行動態の変動に,デスフルランの濃度を高くすることで対処することは,避けるべきである.デスフルランの持つ心筋保護作用は,心筋虚血を起こす可能性が高い心臓手術に有用であり,覚醒が速やかでその質も優れている性質はultra fast-track anesthesiaに活用できる...

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Bibliographic Details
Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 36; no. 5; pp. 610 - 614
Main Authors 横塚, 基, 寺嶋, 克幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 2016
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ISSN0285-4945
1349-9149
DOI10.2199/jjsca.36.610

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Summary:デスフルランは1.5MAC以上へ急激に濃度を上昇させることにより,一過性の交感神経刺激作用を有することが知られている.しかし,1MAC程度の使用であればそれは問題とならず,他の吸入麻酔薬と同様,安全に麻酔管理が可能である.心臓手術中には胸骨正中切開,心膜切開,大動脈操作時など血圧が上昇しやすい時期がある.疼痛刺激などに対する血行動態の変動に,デスフルランの濃度を高くすることで対処することは,避けるべきである.デスフルランの持つ心筋保護作用は,心筋虚血を起こす可能性が高い心臓手術に有用であり,覚醒が速やかでその質も優れている性質はultra fast-track anesthesiaに活用できる可能性がある.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.36.610