P4-009 アダプター蛋白SH3BP2は破骨細胞分化および自己抗体産生抑制を介してマウス関節炎を軽減する

  【目的】アダプター蛋白SH3BP2は免疫・骨代謝に関与する.本研究では,SH3BP2欠損マウスを用い,ヒトTNFトランスジェニック(hTNFtg)マウスおよびコラーゲン誘導性関節炎(CIA)におけるSH3BP2の役割を解析した.【方法】最初に,SH3BP2欠損hTNFtgマウスを作出し,関節炎の重症度を関節腫脹の経時的観察にて,組織の炎症・骨破壊を組織学的およびマイクロCT解析により評価した.また,破骨細胞分化を骨髄由来マクロファージ培養にて評価した.次に,SH3BP2欠損マウスにCIAを誘導し,関節炎の発症率を評価した.血清中抗マウスII型コラーゲン(CII)抗体をELISA法で測定した...

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Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 38; no. 4; p. 333a
Main Authors 植木, 靖好, 守田, 吉孝, 向井, 知之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2015
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ISSN0911-4300
1349-7413
DOI10.2177/jsci.38.333a

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Summary:  【目的】アダプター蛋白SH3BP2は免疫・骨代謝に関与する.本研究では,SH3BP2欠損マウスを用い,ヒトTNFトランスジェニック(hTNFtg)マウスおよびコラーゲン誘導性関節炎(CIA)におけるSH3BP2の役割を解析した.【方法】最初に,SH3BP2欠損hTNFtgマウスを作出し,関節炎の重症度を関節腫脹の経時的観察にて,組織の炎症・骨破壊を組織学的およびマイクロCT解析により評価した.また,破骨細胞分化を骨髄由来マクロファージ培養にて評価した.次に,SH3BP2欠損マウスにCIAを誘導し,関節炎の発症率を評価した.血清中抗マウスII型コラーゲン(CII)抗体をELISA法で測定した.免疫後の鼠径リンパ節を摘出し,培養リンパ節細胞のCIIへの反応性を評価した.【結果】hTNFtgマウスの解析にて,SH3BP2欠損は関節腫脹の重症度には影響しなかったが,関節局所の骨破壊および全身炎症に伴う脛骨の骨量減少を軽減した.骨髄由来マクロファージ培養にて,SH3BP2欠損はRANKLおよびTNF誘導性の破骨細胞分化を抑制した.次に,CIAモデルの解析では,SH3BP2欠損は関節炎発症を著明に抑制した.CIIに対するリンパ節細胞の反応性には有意な変化は認めなかったが,血清抗CII抗体はSH3BP2欠損マウスで低下していた.【結語】SH3BP2欠損はhTNFtgマウスの骨破壊を軽減し,CIAモデルでは自己抗体産生抑制を伴い関節炎の発症を抑制した.SH3BP2は自己免疫性関節炎の新たな治療ターゲットになり得ると考える.
ISSN:0911-4300
1349-7413
DOI:10.2177/jsci.38.333a