P8-009 心筋障害を併発しリツキシマブが著効したTAFRO症候群の1例
TAFRO症候群は,血小板減少,胸腹水,発熱,骨髄線維化,肝脾腫を特徴とした症候群で,Castleman病(CD)の多中心性非IPL(idiopathic plasmacytic lymphadenopathy)型の一亜系と考えられており,急速な進行をきたす予後不良の病態である.日本からの報告がほとんどで,非常に希少な疾患である.我々は,TAFROの5徴に加えて心筋障害を併発した1例を経験した.症例は48歳男性.発熱,呼吸苦,胸腹水,全身浮腫,低アルブミン血症,重度血小板減少,貧血,腎不全,蛋白尿を認め,入院した.培養検査を繰り返すも陰性で,CT検査で全身に多発性リンパ節腫脹を認め,鼠径リ...
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Published in | 日本臨床免疫学会会誌 Vol. 38; no. 4; p. 373a |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床免疫学会
2015
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ISSN | 0911-4300 1349-7413 |
DOI | 10.2177/jsci.38.373a |
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Summary: | TAFRO症候群は,血小板減少,胸腹水,発熱,骨髄線維化,肝脾腫を特徴とした症候群で,Castleman病(CD)の多中心性非IPL(idiopathic plasmacytic lymphadenopathy)型の一亜系と考えられており,急速な進行をきたす予後不良の病態である.日本からの報告がほとんどで,非常に希少な疾患である.我々は,TAFROの5徴に加えて心筋障害を併発した1例を経験した.症例は48歳男性.発熱,呼吸苦,胸腹水,全身浮腫,低アルブミン血症,重度血小板減少,貧血,腎不全,蛋白尿を認め,入院した.培養検査を繰り返すも陰性で,CT検査で全身に多発性リンパ節腫脹を認め,鼠径リンパ節生検でCDの形質細胞型に合致する所見を呈し,TAFRO症候群と診断した.第10病日には心筋障害による心不全をきたし,無尿となった.ステロイドパルス療法,トシリズマブ,免疫グロブリン大量療法,血漿交換などを施行するも改善はみられず,輸血と透析を繰り返しつつ病態は悪化した.そこで,第34病日よりリツキシマブ(600mg × 4回)を投与したところ急速に病状が改善し その1か月後には透析から離脱し,血小板数と心機能も正常化した.心筋障害を伴うTAFRO症候群の報告は初であり,リツキシマブの有効性を証明した貴重な症例と考えられる. |
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ISSN: | 0911-4300 1349-7413 |
DOI: | 10.2177/jsci.38.373a |