P1-36 口腔扁平上皮癌における免疫回避機構と腫瘍随伴性マクロファージとの関連

  【目的】腫瘍随伴性マクロファージ(TAM)は,悪性腫瘍に対する免疫応答を抑制することが報告されているが,口腔扁平上皮癌(OSCC)におけるTAMの局在や機能については不明である.そこで本研究では,OSCCにおけるTAMの免疫抑制機構について検討を行った.【対象と方法】未治療のOSCC患者40例の切除標本を用いて免疫組織化学染色法(IHC)にてTAM(CD163,CD204),活性化リンパ球(CD25),免疫抑制分子(IL-10,PD-L1)の発現と局在を検索した.さらにOSCC患者のPBMCをPMAとイオノマイシンで刺激し,FACSにて各TAM細胞分画(CD163+CD204−,CD163...

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Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 39; no. 4; p. 392b
Main Authors 太田, 美穂, 清島, 保, 川野, 真太郎, 森山, 雅文, 久保田, 恵吾, 古川, 祥子, 坂本, 瑞樹, 中村, 誠司, 林田, 淳之介, ASM, Rafiul Haque, 石黒, 乃理子, 丸瀬, 靖之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2016
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ISSN0911-4300
1349-7413
DOI10.2177/jsci.39.392b

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Summary:  【目的】腫瘍随伴性マクロファージ(TAM)は,悪性腫瘍に対する免疫応答を抑制することが報告されているが,口腔扁平上皮癌(OSCC)におけるTAMの局在や機能については不明である.そこで本研究では,OSCCにおけるTAMの免疫抑制機構について検討を行った.【対象と方法】未治療のOSCC患者40例の切除標本を用いて免疫組織化学染色法(IHC)にてTAM(CD163,CD204),活性化リンパ球(CD25),免疫抑制分子(IL-10,PD-L1)の発現と局在を検索した.さらにOSCC患者のPBMCをPMAとイオノマイシンで刺激し,FACSにて各TAM細胞分画(CD163+CD204−,CD163−CD204+,CD163+CD204+)におけるIL-10およびPD-L1の発現を検討した.【結果】IHCではCD163およびCD204はOSCCの腫瘍辺縁部に著明な浸潤を認めさらに,CD204は腫瘍実質内にも浸潤を認めた.二重蛍光染色法にてTAMの分布を検討したところ,CD163−CD204+とCD163+CD204+が腫瘍浸潤先端部と腫瘍内部に広く局在を認め,CD163+CD204−は主に腫瘍周囲の間質に局在を認めた.さらにFACSではCD163+CD204+の細胞分画が他の分画と比べ,最もIL-10およびPD-L1を発現していた.さらにCD163+CD204+陽性細胞数のみCD25陽性細胞数と負の相関を示した.【結論】これらの結果から,TAMの中でもCD163+CD204+TAMが最も免疫抑制能が高く,OSCCの浸潤・転移に関与していることが示唆された.
ISSN:0911-4300
1349-7413
DOI:10.2177/jsci.39.392b