W3-2  Neuropsychiatric SLE患者脳脊髄液中の抗NR2抗体と抗U1RNP抗体がIL-6に与える影響

【背景と目的】Neuropsychiatric systemic lupus erythematosus(NPSLE)の精神症状は,脳脊髄液(CSF)中の抗NR2抗体やIL-6と相関することが報告されている.またわれわれはCSF中の抗U1RNP抗体の臨床的意義を報告してきた.そこで今回CSF中の抗U1RNP抗体を測定し,CSF-IL-6濃度に与える影響を検討した.【方法】当科で診療したNPSLE患者76名(女性65名,平均年齢35.5歳)を対象とした.CSF中の抗NR2抗体はELISA,抗U1RNP抗体はRNA-免疫沈降法,IL-6はマルチプレックス分析システムを用いて測定した.対照として,非...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 37; no. 4; p. 308a
Main Authors 井村, 嘉孝, 大村, 浩一郎, 石郷岡, 望, 藤井, 隆夫, 山川, 範之, 三森, 経世, 吉藤, 元, 湯川, 尚一郎, 近藤, 聖子, 橋本, 求
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2014
Online AccessGet full text
ISSN0911-4300
1349-7413
DOI10.2177/jsci.37.308a

Cover

More Information
Summary:【背景と目的】Neuropsychiatric systemic lupus erythematosus(NPSLE)の精神症状は,脳脊髄液(CSF)中の抗NR2抗体やIL-6と相関することが報告されている.またわれわれはCSF中の抗U1RNP抗体の臨床的意義を報告してきた.そこで今回CSF中の抗U1RNP抗体を測定し,CSF-IL-6濃度に与える影響を検討した.【方法】当科で診療したNPSLE患者76名(女性65名,平均年齢35.5歳)を対象とした.CSF中の抗NR2抗体はELISA,抗U1RNP抗体はRNA-免疫沈降法,IL-6はマルチプレックス分析システムを用いて測定した.対照として,非SLEで非炎症性中枢神経障害の患者15名のCSFを用いた.【結果】1)CSF-IL-6濃度はCSF-抗NR2抗体陽性例で陰性例に比し高値であった(66.3 vs. 17.9 pg/mL, P<0.01).またCSF-抗NR2抗体価は血液脳関門(BBB)の破綻(Qalb)と有意な正の相関を示したが,CSF-IL-6との相関は認めなかった.2)CSF-抗NR2抗体単独陽性例(NR2,21名),CSF-抗U1RNP抗体単独陽性例(U1RNP,8名),両陽性例(DP,7名),両陰性例(DN,40名)の4群にわけると,CSF-IL-6はDN群に比しDP群とNR2群で有意に高かったが,DN群とU1RNP群とは差を認めなかった.しかし,DP群はNR2群よりもさらに高値であった(182.5 vs. 20.7 pg/mL, P<0.05).【考察と結論】抗NR2抗体はBBBの破綻によりCSFに流入してIL-6を誘導する危険性があるが,CSF-抗U1RNP抗体存在下ではその効果が増強する可能性がある.
ISSN:0911-4300
1349-7413
DOI:10.2177/jsci.37.308a