胸部下行・胸腹部大動脈瘤人工血管置換術における運動誘発電位の現状と問題点

胸部下行・胸腹部大動脈瘤手術時の脊髄虚血モニターとして運動誘発電位(MEP)が推奨されている.手術中に大動脈を遮断しMEP振幅の変化を見ることで,再建すべき分節血管の存在を判断することもできる.しかしMEPは偽陽性が多く,その影響因子として麻酔薬,体温,部分体外循環,年齢,術前脳・脊髄機能障害,記録部位,手術時間,肥満などがあげられる.この中で重要なものは麻酔薬,体温,部分体外循環である.麻酔薬の代謝を考慮し投与量を調節することで,偽陽性の頻度を減少させることができる可能性がある.今後はいまだ定まっていないMEP診断基準が制定され,容易にモニタリングできるマニュアルが作成されることが望まれる....

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 34; no. 7; pp. 868 - 874
Main Authors 松本, 美志也, 山下, 敦生, 石田, 和慶
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 2014
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ISSN0285-4945
1349-9149
DOI10.2199/jjsca.34.868

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Summary:胸部下行・胸腹部大動脈瘤手術時の脊髄虚血モニターとして運動誘発電位(MEP)が推奨されている.手術中に大動脈を遮断しMEP振幅の変化を見ることで,再建すべき分節血管の存在を判断することもできる.しかしMEPは偽陽性が多く,その影響因子として麻酔薬,体温,部分体外循環,年齢,術前脳・脊髄機能障害,記録部位,手術時間,肥満などがあげられる.この中で重要なものは麻酔薬,体温,部分体外循環である.麻酔薬の代謝を考慮し投与量を調節することで,偽陽性の頻度を減少させることができる可能性がある.今後はいまだ定まっていないMEP診断基準が制定され,容易にモニタリングできるマニュアルが作成されることが望まれる.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.34.868