日本人の慢性湿性咳嗽について : 石川県・富山県の多施設研究結果から

慢性湿性咳嗽を呈する疾患は一般に慢性気管支炎と診断されているが, その実態は不明である。一方慢性湿性咳嗽にはしばしば慢性副鼻腔炎を伴っていることが知られているが, 日常臨床では画像上明らかな慢性副鼻腔炎の所見がないにも関わらず同様の上気道症状を有する症例を経験する。そこで慢性湿性咳嗽と, 上気道症状を併せた副鼻腔異常との関連を検討する目的で慢性湿性咳嗽を主訴とする患者について調査を行った。110例の症例中, "副鼻腔異常を伴った非特異的慢性湿性咳嗽"が55例(50.0%)と最も多かった。他疾患との合併例を含めると副鼻腔異常を有しているものは83例(75.5%)に及んだ。治療...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 17; no. 7; pp. 588 - 594
Main Authors 三宅, 靖, 藤村, 政樹, 柴田, 和彦, 斉藤, 元泰, 松田, 保, 中積, 泰人, 野村, 将春
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 1995
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.17.7_588

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Summary:慢性湿性咳嗽を呈する疾患は一般に慢性気管支炎と診断されているが, その実態は不明である。一方慢性湿性咳嗽にはしばしば慢性副鼻腔炎を伴っていることが知られているが, 日常臨床では画像上明らかな慢性副鼻腔炎の所見がないにも関わらず同様の上気道症状を有する症例を経験する。そこで慢性湿性咳嗽と, 上気道症状を併せた副鼻腔異常との関連を検討する目的で慢性湿性咳嗽を主訴とする患者について調査を行った。110例の症例中, "副鼻腔異常を伴った非特異的慢性湿性咳嗽"が55例(50.0%)と最も多かった。他疾患との合併例を含めると副鼻腔異常を有しているものは83例(75.5%)に及んだ。治療に関して回答のあった37例中33例にエリスロマイシンが用いられており, いわゆる副鼻腔気管支症候群に対するのと同様高い有効率が得られた。以上より, 日本人の慢性湿性咳嗽患者の診療においては副鼻腔異常の有無の検討が重要で, 病態解明の糸口となりうると考えられた。
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.17.7_588