気管分岐部にSpiral Z-stent 2個を人字・入字留置した3症例の検討(<特集>気道狭窄に対する気管支鏡下治療)

背景.肺癌の終末期に気管分岐部に狭窄を呈した症例にステントを留置するにあたっては,Dumon Y-stentまたは,Dynamic stentが用いられてきた.これらのステントを留置すると,気管分岐部が被われ,留置後には分泌物の喀出が極端に低下する.そのため,しばしば気管支鏡を行って分泌物の吸引を行う必要がある.目的.ステント留置目的の重要な要素であるQOLの改善という観点から,ステント後何度も気管支鏡を行うということは好ましいことではない.そこで,我々はSpiral Z-stent(以下SZS)を用いることで,これを解消しようと試みた.方法.肺癌の末期で気管下部から両側主気管支に狭窄を呈した...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 25; no. 6; pp. 415 - 420
Main Authors 清藤, 晃司, 細川, 芳文, 伊藤, 有里, 堀越, 昶, 澤田, 滋正, 庄田, 利明, 辻野, 一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2003
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.25.6_415

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Summary:背景.肺癌の終末期に気管分岐部に狭窄を呈した症例にステントを留置するにあたっては,Dumon Y-stentまたは,Dynamic stentが用いられてきた.これらのステントを留置すると,気管分岐部が被われ,留置後には分泌物の喀出が極端に低下する.そのため,しばしば気管支鏡を行って分泌物の吸引を行う必要がある.目的.ステント留置目的の重要な要素であるQOLの改善という観点から,ステント後何度も気管支鏡を行うということは好ましいことではない.そこで,我々はSpiral Z-stent(以下SZS)を用いることで,これを解消しようと試みた.方法.肺癌の末期で気管下部から両側主気管支に狭窄を呈した3症例に対し,一側に長いtaper typeのSZSを気管下部から主気管支にかけて留置し,対側主気管支に短いstraight typeのSZSを留置した.結果.3症例の予後はステント留置日から平均で77.7日であったが,いずれの例においても留置後一度も気管支鏡を行って分泌物の吸引を行う必要がなかった.3例ともステント前は酸素を吸入して起座位をとっていたが,1例では,一時期,酸素で歩行が可能となり,しばしば外泊を繰り返していた.結論.肺癌の終末期で気管分岐部にステントを留置するにあたって,QOLを最優先する場合にはSZSが有用と思われた.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.25.6_415