腹腔内に犬糸状虫の異所寄生が認められた犬の1例

8カ月齢,雑種犬の腹腔鏡下卵巣摘出術中に,腹腔内に寄生する2隻の線虫を発見し,摘出した。術後に実施した血液検査で犬糸状虫抗原は陽性であったが,末梢血中のミクロフィラリアは陰性であった。心エコー検査では心奇形は認められず,心臓内にも虫体は検出されず,当該犬に寄生した虫体は,腹腔から検出された2隻だけと考えられた。この2隻は,犬糸状虫の雌未成熟虫体(性成熟には達していない5期虫体)と雄成虫と思われた。そこで雄成虫の頭部および尾部の構造を精査したところ,特に尾部の乳頭の配列から,これを犬糸状虫と同定した。また,雌未成熟虫体を出発材料に解読した遺伝子配列は,雄成虫に由来するものと相互に一致し,過去の報...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in動物臨床医学 Vol. 27; no. 1; pp. 40 - 43
Main Authors 立野, 祐子, 杉山, 広, 加山, 英, 柴田, 勝優, 山田, 茂夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 動物臨床医学会 25.03.2018
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1344-6991
1881-1574
DOI10.11252/dobutsurinshoigaku.27.40

Cover

More Information
Summary:8カ月齢,雑種犬の腹腔鏡下卵巣摘出術中に,腹腔内に寄生する2隻の線虫を発見し,摘出した。術後に実施した血液検査で犬糸状虫抗原は陽性であったが,末梢血中のミクロフィラリアは陰性であった。心エコー検査では心奇形は認められず,心臓内にも虫体は検出されず,当該犬に寄生した虫体は,腹腔から検出された2隻だけと考えられた。この2隻は,犬糸状虫の雌未成熟虫体(性成熟には達していない5期虫体)と雄成虫と思われた。そこで雄成虫の頭部および尾部の構造を精査したところ,特に尾部の乳頭の配列から,これを犬糸状虫と同定した。また,雌未成熟虫体を出発材料に解読した遺伝子配列は,雄成虫に由来するものと相互に一致し,過去の報告の配列とも一致した。以上の結果から,検出虫体はいずれも犬糸状虫と同定した。
ISSN:1344-6991
1881-1574
DOI:10.11252/dobutsurinshoigaku.27.40