組織標本上でのmessenger RNA発現細胞検出 Digoxigenin labeled probeを用いたin situ hybridization (ISH) 法の技術と留意点
In situ hybridization(ISH)法は目的とするDNAやRNAを直接, 組織標本上において検出する方法である. 現在, ISH法は, 主に各種病態で増加したmessenger RNA(mRNA)の発現細胞を同定する目的で行われている. 今後は遺伝子治療などで生体内に導入したベクターの情報を発現する細胞の同定や, 周囲の細胞が反応性に産生する物質のmRNAの検出などにさらに広く用いられるものと考えられる. しかし, ISH法を行うためには組織標本の準備, probeの作成とhybridization, さらに組織標本の評価という, 病理組織学と分子生物学の双方の技術が必要である...
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Published in | Journal of Nippon Medical School Vol. 67; no. 1; pp. 38 - 41 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本医科大学医学会
2000
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ISSN | 1345-4676 1347-3409 |
DOI | 10.1272/jnms.67.38 |
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Summary: | In situ hybridization(ISH)法は目的とするDNAやRNAを直接, 組織標本上において検出する方法である. 現在, ISH法は, 主に各種病態で増加したmessenger RNA(mRNA)の発現細胞を同定する目的で行われている. 今後は遺伝子治療などで生体内に導入したベクターの情報を発現する細胞の同定や, 周囲の細胞が反応性に産生する物質のmRNAの検出などにさらに広く用いられるものと考えられる. しかし, ISH法を行うためには組織標本の準備, probeの作成とhybridization, さらに組織標本の評価という, 病理組織学と分子生物学の双方の技術が必要である1-3. 著者らは, 細胞増殖因子, cytokineと細胞外基質の発現細胞を, steroid haptenのdigoxigenin(DIG)で標識したprobeを用いて組織標本上で検討してきた4-9. 現在までに得られたDIG labeled probeを用いた, ISH法における技術的な知見と留意すべき点につき報告する. 1. 標本の作成法 ISH法には, paraffin包埋か凍結包埋した組織標本が用いられる(表1). 凍結包埋標本には, 直ちにOCT compoundに包埋し薄切後に4%Paraformaldehyde(PFA)液で固定する方法と(表1, 固定法2), 予め数時間固定した後に包埋する方法とがある(表1, 固定法3)10. |
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ISSN: | 1345-4676 1347-3409 |
DOI: | 10.1272/jnms.67.38 |