重心動揺に対するフラクタル解析

「はじめに」重心動揺検査はコンピュータ分析によりさまざまな結果が提示されることで客観的な直立姿勢の不安定性を評価できる方法として広く実施されている. 客観的指標として外周面積, 単位軌跡長, 単位面積軌跡長, 重心動揺中心変位, ロンベルグ率などのパラメータなどが観察される. この重心動揺検査の量的な指標を用いて, 平衡障害の程度を把握し, 疾患の経過観察や, 治療や平衡訓練の効果判定に利用されている. 一方, 重心動揺検査から病巣診断を試みる目的で, 特徴的な動揺パターンや周波数解析による特徴的動揺周波数を検討する重心動揺の質的評価がされてきたが, 一部の典型的症例で有用性を認められているの...

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Published inEquilibrium Research Vol. 75; no. 3; pp. 154 - 161
Main Authors 伊藤, 八次, 山田, 南星, 時田, 喬, 水田, 啓介, 青木, 光広, 久世, 文也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本めまい平衡医学会 2016
日本めまい平衡医学会
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ISSN0385-5716
1882-577X
DOI10.3757/jser.75.154

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Summary:「はじめに」重心動揺検査はコンピュータ分析によりさまざまな結果が提示されることで客観的な直立姿勢の不安定性を評価できる方法として広く実施されている. 客観的指標として外周面積, 単位軌跡長, 単位面積軌跡長, 重心動揺中心変位, ロンベルグ率などのパラメータなどが観察される. この重心動揺検査の量的な指標を用いて, 平衡障害の程度を把握し, 疾患の経過観察や, 治療や平衡訓練の効果判定に利用されている. 一方, 重心動揺検査から病巣診断を試みる目的で, 特徴的な動揺パターンや周波数解析による特徴的動揺周波数を検討する重心動揺の質的評価がされてきたが, 一部の典型的症例で有用性を認められているのみである. 直立姿勢は, 視覚, 迷路, 脊髄固有受容器からの情報が中枢に入力され, 躯幹, 四肢の骨格筋に出力され, 反射, 制御し維持されている. これらのように多入力, 多出力の系であり, かつ各反射系, 制御系が相互に関連している複雑なシステムであるため, 個々の反射系・制御系を単独で解析し検討することは極めて困難である.
ISSN:0385-5716
1882-577X
DOI:10.3757/jser.75.154