Micro Typing Systemによる生後4カ月未満児不規則抗体検査

生後4カ月未満児は得られる採血量が少ないことから,自動輸血検査装置や試験管法では不規則抗体検査が困難である.このため,当院では検体量が試験管法の約1/4と少量の検体で検査可能なMicro Typing Systemを採用している.2007年1月から2016年12月までの10年間においてMicro Typing Systemでは不規則抗体検査依頼のあった生後4カ月未満児554件中,552件(99.6%)で検査可能であった.症例の内訳では55.4%が先天性心疾患の症例であった.また,検査可能であった552件中,不規則抗体が16件(2.9%)で陽性判定であった.そのうちの14件は母親からの移行抗体,...

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Published in日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 65; no. 3; pp. 562 - 567
Main Authors 上村, 正巳, 青木, 寿成, 増子, 正義, 牛木, 隆志, 渡部, もも, 中田, 光, 大木, 直江, 佐藤, 美里, 川合, 綾野
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 25.06.2019
日本輸血・細胞治療学会
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ISSN1881-3011
1883-0625
DOI10.3925/jjtc.65.562

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Summary:生後4カ月未満児は得られる採血量が少ないことから,自動輸血検査装置や試験管法では不規則抗体検査が困難である.このため,当院では検体量が試験管法の約1/4と少量の検体で検査可能なMicro Typing Systemを採用している.2007年1月から2016年12月までの10年間においてMicro Typing Systemでは不規則抗体検査依頼のあった生後4カ月未満児554件中,552件(99.6%)で検査可能であった.症例の内訳では55.4%が先天性心疾患の症例であった.また,検査可能であった552件中,不規則抗体が16件(2.9%)で陽性判定であった.そのうちの14件は母親からの移行抗体,1件は移行抗体が疑われた抗E,1件は自然抗体と考えられるIgM型の抗Mであった.さらに実際に358件に赤血球輸血が実施され,その内230件(64.2%)に輸血後の不規則抗体検査が行われたが,輸血後に生後4カ月未満児が不規則抗体を産生した症例は認められなかった.ほぼ全例に不規則抗体スクリーニング検査を可能とするMicro Typing Systemは乳児への輸血療法の安全性確保の観点において有用である.
ISSN:1881-3011
1883-0625
DOI:10.3925/jjtc.65.562