Metabolic tumor volume を指標とした喉頭温存戦略

進行喉頭癌に対する根治治療の主体は臓器機能温存を目的とした化学放射線療法(CRT)および喉頭全摘である. 近年, 局所進行癌に対しても喉頭温存を目的としてCRTが施行されることが多い. 一方, 甲状軟骨をこえて周囲組織へ浸潤が認められるT4a症例などは喉頭全摘が標準治療とされている. ガイドライン上, 再発や救済手術のリスクが高いほとんどのT4a症例, 特にhigh volumeな腫瘍や治療前の喉頭機能低下例では喉頭全摘が推奨されている. 一方, low volumeで喉頭機能が保たれているT4a症例であればCRTによって喉頭全摘と同等の予後が得られるという報告もある. 今後の喉頭温存治療戦略...

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Published in喉頭 Vol. 35; no. 2; p. 107
Main Authors 林, 計企, 宮部, 淳二, 猪原, 秀典, 喜井, 正士, 是松, 瑞樹, 北村, 公二, 藤井, 隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本喉頭科学会 01.12.2023
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ISSN0915-6127
2185-4696
DOI10.5426/larynx.35.107

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Summary:進行喉頭癌に対する根治治療の主体は臓器機能温存を目的とした化学放射線療法(CRT)および喉頭全摘である. 近年, 局所進行癌に対しても喉頭温存を目的としてCRTが施行されることが多い. 一方, 甲状軟骨をこえて周囲組織へ浸潤が認められるT4a症例などは喉頭全摘が標準治療とされている. ガイドライン上, 再発や救済手術のリスクが高いほとんどのT4a症例, 特にhigh volumeな腫瘍や治療前の喉頭機能低下例では喉頭全摘が推奨されている. 一方, low volumeで喉頭機能が保たれているT4a症例であればCRTによって喉頭全摘と同等の予後が得られるという報告もある. 今後の喉頭温存治療戦略を考える上で治療選択の判断基準となるような新たなバイオマーカーが必要であると考えられる. 近年, 頭頸部癌の画像評価としてFDG-PET検査が広く施行されるようになっている. PET画像から得られるパラメータとして以前よりSUVmaxが頻用されているが, 近年, 新たなPETパラメータとしてmetabolic tumor volume (MTV)が報告された. MTVは定義されたSUV値以上の体積であり, 生物学的活性を加味した腫瘍体積を表すものとされている. 頭頸部癌の他, 悪性リンパ腫, 肺癌, 消化器癌などにおいてバイオマーカーとしての有用性が報告されている. 我々もこれまでMTVが頭頸部扁平上皮癌において化学放射線療法の一次治療効果予測に有用であることや局所進行下咽頭・喉頭癌における粗生存, 喉頭温存生存の独立した予後因子であることを報告してきた. 今回, 大阪大学および大阪国際がんセンターで進行喉頭癌に対し初回治療としてCRTまたは喉頭全摘を施行した症例について, 原発巣のMTVと予後との関係について統計学的解析を行い, MTVの有用性について検討を行ったので報告するとともにMTVを指標とした喉頭温存治療戦略について提示する.
ISSN:0915-6127
2185-4696
DOI:10.5426/larynx.35.107