輸血忌避のため経皮的中隔心筋焼灼術により加療した閉塞性肥大型心筋症の1例
閉塞性肥大型心筋症の54歳の女性が当院へ入院した. 本患者は同疾患の家族歴を有し, 近医で11年間β遮断薬により加療中であったが, 1年前より症状の増悪を自覚した. 心臓カテーテル検査による, 左室流出路での圧較差は安静時で140mmHgであった. 房室ペーシングは圧較差軽減には無効で, ベラパミルとジソピラミドの経静脈投与は有効であった. しかし, 外来でのβ遮断薬にこれらの薬物を加えての経口投与は, 圧較差の軽減効果が十分でなく, 自覚症状も継続したため再入院した. 宗教上の理由により輸血を拒否されたため, 外科治療を断念し, 経皮的中隔心筋焼灼術を行った. 治療後著明な圧較差の軽減と自覚...
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Published in | 医療 Vol. 58; no. 5; pp. 303 - 309 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 国立医療学会
2004
国立医療学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0021-1699 1884-8729 |
DOI | 10.11261/iryo1946.58.303 |
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Summary: | 閉塞性肥大型心筋症の54歳の女性が当院へ入院した. 本患者は同疾患の家族歴を有し, 近医で11年間β遮断薬により加療中であったが, 1年前より症状の増悪を自覚した. 心臓カテーテル検査による, 左室流出路での圧較差は安静時で140mmHgであった. 房室ペーシングは圧較差軽減には無効で, ベラパミルとジソピラミドの経静脈投与は有効であった. しかし, 外来でのβ遮断薬にこれらの薬物を加えての経口投与は, 圧較差の軽減効果が十分でなく, 自覚症状も継続したため再入院した. 宗教上の理由により輸血を拒否されたため, 外科治療を断念し, 経皮的中隔心筋焼灼術を行った. 治療後著明な圧較差の軽減と自覚症状の改善が認められた. 本治療法には未だ, 医療保険が適応されていない. また技術の進歩により急性期の合併症は軽減されたが, 長期予後は不明である. したがって, 本治療法はその適応には慎重であるべきだが, 症例を選べば有用と考えられた. |
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ISSN: | 0021-1699 1884-8729 |
DOI: | 10.11261/iryo1946.58.303 |