参加型調査“ベランダバードウォッチ”から明らかになった関東地方の 住宅地の鳥類相とその時間変動

都市環境の鳥類相は,時間の経過とともに変化する.21世紀初頭の住宅地環境における鳥類群集の特徴を記述するため,特定非営利活動法人バードリサーチが全国的に行なっている参加型調査“ベランダバードウォッチ”のデータを解析した.住宅地の鳥類について,1)記録地点数の多い種は何か,2)記録率の高い種は何か,3)季節によりどのような違いがあるか,4)種数の年変動はどのくらいあるか,5)住宅地で記録された外来種,を明らかにした.その結果,繁殖期,越冬期を通じて,記録地点数,記録率ともに最も高かったのは,スズメとヒヨドリだった.よくみられる種の大部分は,人工構造物,街路樹,植栽に依存する,またはそれらを利用可...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inBird Research Vol. 14; pp. A33 - A44
Main Authors 三上, かつら, 植田, 睦之, 平野, 敏明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published Tokyo 特定非営利活動法人バードリサーチ 2018
Japan Bird Research Association
Japan Science and Technology Agency
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1880-1587
1880-1595
DOI10.11211/birdresearch.14.A33

Cover

More Information
Summary:都市環境の鳥類相は,時間の経過とともに変化する.21世紀初頭の住宅地環境における鳥類群集の特徴を記述するため,特定非営利活動法人バードリサーチが全国的に行なっている参加型調査“ベランダバードウォッチ”のデータを解析した.住宅地の鳥類について,1)記録地点数の多い種は何か,2)記録率の高い種は何か,3)季節によりどのような違いがあるか,4)種数の年変動はどのくらいあるか,5)住宅地で記録された外来種,を明らかにした.その結果,繁殖期,越冬期を通じて,記録地点数,記録率ともに最も高かったのは,スズメとヒヨドリだった.よくみられる種の大部分は,人工構造物,街路樹,植栽に依存する,またはそれらを利用可能な種だったが,そうではない種もあった.季節による種のランクが大きく変動したのはメジロ,カワラヒワ,ハクセキレイ,ウグイスなどで,その理由として,鳥の個体数の変化のほか,行動の季節変化や餌台による誘引,観察者による認識のしやすさが考えられた.長期調査によると,住宅地では,地点ごとに観察される種数は,繁殖期には安定しているが,越冬期は繁殖期よりばらつきが大きいことが示された.調査地点数や調査年数を増やしていくことで更なる発展が望める.そのためには,ベランダバードウォッチは参加型調査であるため,調査結果を定期的に還元するなどの工夫が必要と考えられた.
Bibliography:ObjectType-Article-1
SourceType-Scholarly Journals-1
ObjectType-Feature-2
content type line 14
ISSN:1880-1587
1880-1595
DOI:10.11211/birdresearch.14.A33