高分子量蛋白質を対象とした疾患診断用マーカー探索

疾患プロテオミクスでもっとも期待される分野の一つとして疾患診断用マーカー蛋白質の探索が挙げられる.しかし,分子量100 kDa以上の高分子量蛋白質の解析はとても難しく,イモビラインを用いた二次元電気泳動法では解析できなかった.我々は,600 kDaの高分子量蛋白質も解析可能な,一次元目にアガロースIEFゲルを用いた二次元電気泳動法(アガロース2-DE)を用いて,食道扁平上皮癌,大腸癌および肝細胞癌で,それぞれ疾患プロテオーム解析を行い,各種マーカー蛋白質候補を多数検出することに成功した.中でも,食道扁平上皮癌においては非癌部に比べて200 kDaのperiplakinが有意に減少し,肝細胞癌で...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in生物物理化学 Vol. 54; no. 1; pp. 35 - 39
Main Authors 小寺, 義男, 清宮, 正徳, 松下, 一之, 前田, 忠計, 西森, 孝典, 野村, 文夫, 大石, 正道, 朝長, 毅
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本電気泳動学会 2010
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0031-9082
1349-9785
DOI10.2198/sbk.54.35

Cover

More Information
Summary:疾患プロテオミクスでもっとも期待される分野の一つとして疾患診断用マーカー蛋白質の探索が挙げられる.しかし,分子量100 kDa以上の高分子量蛋白質の解析はとても難しく,イモビラインを用いた二次元電気泳動法では解析できなかった.我々は,600 kDaの高分子量蛋白質も解析可能な,一次元目にアガロースIEFゲルを用いた二次元電気泳動法(アガロース2-DE)を用いて,食道扁平上皮癌,大腸癌および肝細胞癌で,それぞれ疾患プロテオーム解析を行い,各種マーカー蛋白質候補を多数検出することに成功した.中でも,食道扁平上皮癌においては非癌部に比べて200 kDaのperiplakinが有意に減少し,肝細胞癌では190 kDaのclathrin heavy chainが非癌部に比べて顕著に増加するなど,アガロース2-DEを基盤としたプロテオミクスの手法が高分子量蛋白質の疾患マーカー探索に有用であることが明らかになった.
ISSN:0031-9082
1349-9785
DOI:10.2198/sbk.54.35