骨粗鬆症の診断と治療

「はじめに」骨粗鬆症は, 本邦での患者数がすでに1,000万人を超える, 日常診療において頻繁に遭遇する疾患である. 骨粗鬆症に起因すると考えられる大腿骨近位部骨折の国内での年間発症数が12万人を超え, その10%が1年以内に死亡し, 30%に日常生活動作の低下を生ずるとされている1など, 今後の高齢化社会の進行とともに, 介護の問題と相まって, 社会問題化していることを忘れてはならない. 本稿では, 疫学から診断・治療まで体系的に説明することで, 決して単なる加齢変化ではなく, 骨粗鬆症, 特に原発性骨粗鬆症が1つの独立した疾患概念であることを明確にする. 「骨粗鬆症の定義」2000年のNI...

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Published in日本医科大学医学会雑誌 Vol. 5; no. 1; pp. 41 - 46
Main Authors 伊藤, 博元, 河路, 秀巳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2009
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ISSN1349-8975
1880-2877
DOI10.1272/manms.5.41

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Summary:「はじめに」骨粗鬆症は, 本邦での患者数がすでに1,000万人を超える, 日常診療において頻繁に遭遇する疾患である. 骨粗鬆症に起因すると考えられる大腿骨近位部骨折の国内での年間発症数が12万人を超え, その10%が1年以内に死亡し, 30%に日常生活動作の低下を生ずるとされている1など, 今後の高齢化社会の進行とともに, 介護の問題と相まって, 社会問題化していることを忘れてはならない. 本稿では, 疫学から診断・治療まで体系的に説明することで, 決して単なる加齢変化ではなく, 骨粗鬆症, 特に原発性骨粗鬆症が1つの独立した疾患概念であることを明確にする. 「骨粗鬆症の定義」2000年のNIHコンセンサス会議において, 骨粗鬆症とは, 「骨強度の低下を特徴とし, 骨折のリスクが増大しやすくなる骨格疾患」と定義された2. ここでいう「骨強度」とは, 骨密度(BMD:bone mineral density)と骨質(微細構造, 骨代謝回転, 微小骨折, 石灰化)の両者を併せた概念である.
ISSN:1349-8975
1880-2877
DOI:10.1272/manms.5.41