腹腔内臓器の重度癒着を伴った肝内性門脈体循環シャントの犬の外科的治験例

生後2カ月齢で肝性脳症を発症した右側肝区域の肝内性門脈体循環シャントのジャックラッセルテリアが,5カ月齢から11カ月齢までに他院にて3回のシャント血管結紮術を試みられた。しかし,シャント血管の分離に至らず中断し,3回目の手術から8カ月後となる1歳7ヵ月齢時に当院に紹介来院した。手術は胸骨正中切開を併用した胸腹部正中切開にて開胸開腹アプローチした。腹腔内臓器は重度に癒着しており,慎重な剥離が必要であった。その後,超音波外科用吸引装置にて尾状葉尾状突起基部のシャント血管を分離露出した。シャント血管の仮遮断で門脈圧亢進症所見を認めたため部分結紮とし,2カ月後にシャント血管の完全結紮術を実施した。再手...

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Published in動物臨床医学 Vol. 30; no. 1; pp. 15 - 19
Main Authors 二村, 侑希, 小出, 由紀子, 二村, 美沙紀, 小出, 和欣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 動物臨床医学会 25.03.2021
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ISSN1344-6991
1881-1574
DOI10.11252/dobutsurinshoigaku.30.15

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Summary:生後2カ月齢で肝性脳症を発症した右側肝区域の肝内性門脈体循環シャントのジャックラッセルテリアが,5カ月齢から11カ月齢までに他院にて3回のシャント血管結紮術を試みられた。しかし,シャント血管の分離に至らず中断し,3回目の手術から8カ月後となる1歳7ヵ月齢時に当院に紹介来院した。手術は胸骨正中切開を併用した胸腹部正中切開にて開胸開腹アプローチした。腹腔内臓器は重度に癒着しており,慎重な剥離が必要であった。その後,超音波外科用吸引装置にて尾状葉尾状突起基部のシャント血管を分離露出した。シャント血管の仮遮断で門脈圧亢進症所見を認めたため部分結紮とし,2カ月後にシャント血管の完全結紮術を実施した。再手術時には肝臓サイズは正常化し,肝内門脈枝も発達していたが,後天性門脈体循環シャントが認められたため閉鎖した。再手術後12カ月となる現在,経過は良好である。
ISSN:1344-6991
1881-1574
DOI:10.11252/dobutsurinshoigaku.30.15