麻酔前投薬としてのDiazepamの統計的調査研究

元来, 麻酔前投薬の目的は催眠, 鎮静による基礎代謝量の低下と被刺激性の減少, 気道分泌物の抑制, 有害な神経反射の予防, 疼痛閾値の上昇などである. これらは麻酔導入に時間を要するたとえばEther麻酔などについての麻酔前投薬の考え方であり, Halothaneのごとき強力な弗化炭化水素系麻酔剤の出現により麻酔前投薬の上記のごとき意義は少なくなくなつたとする説1)も現われるに至つた. しかし, 手術というストレスに対する患者の反応は大きく, 術前の不安, 麻酔の導入と維持および手術が惹起する種々の不利な反応は時として不測の事態を伴うものであることもすでにしばしば経験するところである. 患者管...

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Published in医療 Vol. 22; no. 3; pp. 354 - 362
Main Author 伊東, 和人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1968
医療同好会
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.22.354

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Summary:元来, 麻酔前投薬の目的は催眠, 鎮静による基礎代謝量の低下と被刺激性の減少, 気道分泌物の抑制, 有害な神経反射の予防, 疼痛閾値の上昇などである. これらは麻酔導入に時間を要するたとえばEther麻酔などについての麻酔前投薬の考え方であり, Halothaneのごとき強力な弗化炭化水素系麻酔剤の出現により麻酔前投薬の上記のごとき意義は少なくなくなつたとする説1)も現われるに至つた. しかし, 手術というストレスに対する患者の反応は大きく, 術前の不安, 麻酔の導入と維持および手術が惹起する種々の不利な反応は時として不測の事態を伴うものであることもすでにしばしば経験するところである. 患者管理上, 麻酔を円滑に遂行させるためには従来のごとき過重な薬剤投与は必要としないにしても麻酔前投薬は不可欠のものと考える. この目的のためには, 自律神経抑制作用の少ないTranquilizer系薬剤の投与が必要となつてくる. Tranquilizer系薬剤を麻酔前投薬として用いた発表2)~5)はすでに多いが比較的少数症例による発表であつた.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.22.354