肺拡散能力と肺局所機能

肺機能検査は肺の生理学的機能を測定する検査法であるから, その本質はあくまでも肺の機能障害の有無および性質を検査するものである. 例えば, 肺実質に病巣がある場合, 一般に病巣の拡りに比例して肺活量は滅少するが, その病巣の原因が何であるかはわからない. また肺にびまん性の線維性病変があると肺拡散能力は減少するが, その病変の成因は肺生検による病理組織学的検査によらねばならない. しかし患者が主訴として息切れやチアノーゼを訴える場合, どのような生理学的障害によつて起るのかについては, かなり正確な回答を与えることができよう. すなわち, 息切れが, 肺気量の高度の減少すなわち拘束性障害による...

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Published in医療 Vol. 25; no. 7; pp. 540 - 549
Main Authors 永島, 暉也, 斉藤, 隆, 金上, 晴夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1971
医療同好会
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.25.540

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Summary:肺機能検査は肺の生理学的機能を測定する検査法であるから, その本質はあくまでも肺の機能障害の有無および性質を検査するものである. 例えば, 肺実質に病巣がある場合, 一般に病巣の拡りに比例して肺活量は滅少するが, その病巣の原因が何であるかはわからない. また肺にびまん性の線維性病変があると肺拡散能力は減少するが, その病変の成因は肺生検による病理組織学的検査によらねばならない. しかし患者が主訴として息切れやチアノーゼを訴える場合, どのような生理学的障害によつて起るのかについては, かなり正確な回答を与えることができよう. すなわち, 息切れが, 肺気量の高度の減少すなわち拘束性障害によるものか, 気道の閉塞を主とする閉塞性障害によるものか, または線維性病変による拡散障害によるものかについての判定ができよう. またチアノーゼがある時には, 肺胞低換気によるのか, 拡散障害によるのか, または静脈混合によるものかについて解答が得られ, それによつて適切な治療が与えられよう. また肺手術がその患者にとつて安全かどうかを判定するには, 肺機能検査は最も重要な決め手となる.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.25.540