インシデント報告からみた誤薬予防対策

医療過誤を未然に防ぐためには現代医療の急速な進歩に対応した診療体制および管理体制を構築することが重要と考えられる. そこで当院で経験したインシデント報告1595例中671例(43%)と最も多く認められた誤薬の原因を検討し, その対応策について考えた. 第1発見者は直接患者と接する機会の多い看護師が最も多く(83%), また患者あるいは家族が間違いに気付く例(9%)も多く認められた. 医師に関する誤薬の原因は不明瞭記載35%, 口頭指示23%, 記載ルール違反16%, エンボスカードの間違い14%, 知識不足5%, 連絡不備その他が7%であった. インシデント全体の背景は, 確認不足が医師, 薬...

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Published in医療 Vol. 57; no. 9; pp. 558 - 561
Main Authors 竹内, 仁司, 斎藤, 大治, 山本, 浩和, 金崎, 洋子, 小長, 英二, 牧野, 泰裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 2003
国立医療学会
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.57.558

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Summary:医療過誤を未然に防ぐためには現代医療の急速な進歩に対応した診療体制および管理体制を構築することが重要と考えられる. そこで当院で経験したインシデント報告1595例中671例(43%)と最も多く認められた誤薬の原因を検討し, その対応策について考えた. 第1発見者は直接患者と接する機会の多い看護師が最も多く(83%), また患者あるいは家族が間違いに気付く例(9%)も多く認められた. 医師に関する誤薬の原因は不明瞭記載35%, 口頭指示23%, 記載ルール違反16%, エンボスカードの間違い14%, 知識不足5%, 連絡不備その他が7%であった. インシデント全体の背景は, 確認不足が医師, 薬剤師, 看護師それぞれ73%, 78%, 49%と最も多く, 勤務状況が医師, 薬剤師, 看護師それぞれ18%, 20%, 17%とほぼ同じ割合を占めた. その他, 医師では連携の悪さが9%, 看護師では観察不足が33%占めていた. 経験年数1年以内は959例中848例(88%)と圧倒的に多く, 経験年数1年以内は重大なインシデント発生要因であった. 以上から, 患者を含めた医療チームの情報交換により知識の共有化が誤薬対策として最も重要である. また, 安全な医療管理を推進するためには新人教育を徹底すると共に, 過度の労働負担を解消しなければならない.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.57.558