血小板輸血6カ月後にHBs抗原およびHBVDNA陽性化を認めた急性骨髄性白血病の1例
患者は65歳男性で,白血球増多・貧血・血小板減少を契機に当院入院,フィラデルフィア染色体陽性急性骨髄性白血病の診断となった.輸血前のHBs抗原・HBs抗体・HBc抗体は陰性だった.入院後第3病日に血小板製剤が輸血された.同製剤は輸血前のスクリーニングの4価核酸増幅検査(NAT)が陰性であったため供給された.当該製剤の献血者が2週後の再献血時にNAT陽性となり追加でB型肝炎ウイルス(HBV)DNAが検査されたが陰性であり,遡及調査に至らなかった.約1カ月後の再献血時に献血者のHBVDNA陽性が判明し,患者への輸血時にはHBVのウインドウ期と考えられた.輸血によるHBV感染の可能性があり患者は遡及...
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Published in | 日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 70; no. 1; pp. 27 - 32 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
26.02.2024
日本輸血・細胞治療学会 |
Subjects | |
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ISSN | 1881-3011 1883-0625 |
DOI | 10.3925/jjtc.70.27 |
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Summary: | 患者は65歳男性で,白血球増多・貧血・血小板減少を契機に当院入院,フィラデルフィア染色体陽性急性骨髄性白血病の診断となった.輸血前のHBs抗原・HBs抗体・HBc抗体は陰性だった.入院後第3病日に血小板製剤が輸血された.同製剤は輸血前のスクリーニングの4価核酸増幅検査(NAT)が陰性であったため供給された.当該製剤の献血者が2週後の再献血時にNAT陽性となり追加でB型肝炎ウイルス(HBV)DNAが検査されたが陰性であり,遡及調査に至らなかった.約1カ月後の再献血時に献血者のHBVDNA陽性が判明し,患者への輸血時にはHBVのウインドウ期と考えられた.輸血によるHBV感染の可能性があり患者は遡及調査の対象となり,第44病日以降は3~6週おきにHBs抗原・HBVDNAのフォローアップが行われた.第44病日・第84病日・第129病日のHBVDNAは陰性であったが,輸血6カ月後の第149病日にHBs抗原,HBVDNAが陽性化した.患者と献血者検体HBVのDNA塩基配列が一致し輸血による感染と確定した.先制攻撃的にエンテカビルによる治療を行い,HBVDNAは陰性化し急性肝炎は発症していない. |
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ISSN: | 1881-3011 1883-0625 |
DOI: | 10.3925/jjtc.70.27 |