冷凍保存鶏肉におけるCampylobacter jejuniの生存性とパルスフィールド・ゲル電気泳動法による分離菌株の遺伝子解析

市販鶏肉のカンピロバクター汚染調査を行ったところ, 100検体中49検体 (49.0%) がCampylobacter jejuni陽性であった.その49検体について, 冷凍保存による鶏肉中のCampylobacter菌数の変化をMPN法により調査したところ, -20℃, 7日間保存後の菌数は保存前の検体に比べて1/10~1/100に減少し, 25/49検体 (51.0%) では検出限界未満 (MPN値<15/100g) となった. PFGE法により分離菌株の遺伝子解析を行ったところ, 市販鶏肉は単一ではなく複数の遺伝子型の菌によって汚染されていることが示唆され, また, 8/24検体...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本食品微生物学会雑誌 Vol. 22; no. 2; pp. 59 - 65
Main Authors 小野, 一晃, 安藤, 陽子, 柳川, 敬子, 川森, 文彦, 尾関, 由姫恵
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本食品微生物学会 30.06.2005
Online AccessGet full text
ISSN1340-8267
1882-5982
DOI10.5803/jsfm.22.59

Cover

More Information
Summary:市販鶏肉のカンピロバクター汚染調査を行ったところ, 100検体中49検体 (49.0%) がCampylobacter jejuni陽性であった.その49検体について, 冷凍保存による鶏肉中のCampylobacter菌数の変化をMPN法により調査したところ, -20℃, 7日間保存後の菌数は保存前の検体に比べて1/10~1/100に減少し, 25/49検体 (51.0%) では検出限界未満 (MPN値<15/100g) となった. PFGE法により分離菌株の遺伝子解析を行ったところ, 市販鶏肉は単一ではなく複数の遺伝子型の菌によって汚染されていることが示唆され, また, 8/24検体 (33.3%) において, 冷凍保存前後で異なる遺伝子型の菌が分離された.このため, 食中毒事件の原因究明のためには, 食品検体からできるだけ多くの菌株を分離し, 遺伝子解析を行う必要性があることが考えられた. 鶏肉へのC. jejuni接種試験では, 解凍せずに凍結状態で保存した検体では, 凍結・解凍を繰り返したものよりも菌数の減少がわずかであったことから, 菌の死滅は主に凍結時あるいは解凍時に起こることが示唆された.
ISSN:1340-8267
1882-5982
DOI:10.5803/jsfm.22.59