口腔がんのスクリーニングに関連するhTERT遺伝子のメチル化検出のための電気化学的ハイブリダイゼーションアッセイ

テロメラーゼの触媒活性因子であるhuman telomerase reverse transcriptase(hTERT)遺伝子のプロモータ領域のメチル化パターンががんの進行と深くかかわっていることが報告されている.したがってこのプロモータ領域のメチル化パターンが検出できれば,がんの早期発見の手法として発展できると期待される.著者らは,hTERT遺伝子のプロモータ領域中の五つのCpGサイトを含む24塩基をターゲットとし,10種類のプローブDNAを有するマルチ電極チップを作製した.このチップを用いた電気化学的ハイブリダイゼーションアッセイ(Electrochemical hybridizatio...

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Published in分析化学 Vol. 66; no. 6; pp. 437 - 443
Main Authors 原口, 和也, 冨永, 和宏, 佐藤, しのぶ, 早川, 真奈, 竹中, 繁織
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 05.06.2017
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ISSN0525-1931
DOI10.2116/bunsekikagaku.66.437

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Summary:テロメラーゼの触媒活性因子であるhuman telomerase reverse transcriptase(hTERT)遺伝子のプロモータ領域のメチル化パターンががんの進行と深くかかわっていることが報告されている.したがってこのプロモータ領域のメチル化パターンが検出できれば,がんの早期発見の手法として発展できると期待される.著者らは,hTERT遺伝子のプロモータ領域中の五つのCpGサイトを含む24塩基をターゲットとし,10種類のプローブDNAを有するマルチ電極チップを作製した.このチップを用いた電気化学的ハイブリダイゼーションアッセイ(Electrochemical hybridization assay, EHA)によってhTERT遺伝子のメチル化パターンによる口腔がん診断を試みた.ここでは,病院での簡易診断を目指して口腔がん,白板症,健常者から得られた口腔ぬぐい液を用いて,ゲノムを採取し,亜硫酸処理したのち,メチル化特異的ポリメラーゼ連鎖反応(Methylation-specific polymerase chain reaction, MSP)を行った.得られたMSP産物をEHAにより評価したところ,サンプルのメチル化頻度とがんの進行度に相関が示された.白板症,健常者を含むすべてのサンプルからメチル化頻度の高いDNAプローブに対する電気シグナルのReceiver Operating Characteristic(ROC)曲線を用いて口腔がんの正診断率を算出したところ,91% であった.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.66.437