ハンセン病療養所におけるハンセン病再発の早期発見

全在園者約300人(当時)を対象に, 再発性ハンセン病の早期発見を試みた結果, 2年間でLL6例とBL2例の再発を認めた. 年齢は59歳から91歳, 寛解期間は13年から40年であった. 早期診断の手掛かりとなったのは, 痛み・痒みをともなわない皮疹, 皮膚の違和感, らい菌特異約な血清抗PGL-I抗体の上昇などで, いずれも皮膚の菌検査が陽性であった. また1例は, 自・他覚症状をともなわずに菌検査が陽転したが, 同時に帯状疱疹を発症し, 免疫力の低下が再発に関与していたと考えられた. 薬剤耐性に関与するらい菌の遺伝子変異の有無を検討した結果, 5例中4例から得られた菌が, 1ないし2剤に対...

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Published in医療 Vol. 57; no. 2; pp. 89 - 93
Main Authors 並里, まさ子, 小川, 秀興, 豊田, やい子, 東, 正明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 2003
国立医療学会
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.57.89

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Summary:全在園者約300人(当時)を対象に, 再発性ハンセン病の早期発見を試みた結果, 2年間でLL6例とBL2例の再発を認めた. 年齢は59歳から91歳, 寛解期間は13年から40年であった. 早期診断の手掛かりとなったのは, 痛み・痒みをともなわない皮疹, 皮膚の違和感, らい菌特異約な血清抗PGL-I抗体の上昇などで, いずれも皮膚の菌検査が陽性であった. また1例は, 自・他覚症状をともなわずに菌検査が陽転したが, 同時に帯状疱疹を発症し, 免疫力の低下が再発に関与していたと考えられた. 薬剤耐性に関与するらい菌の遺伝子変異の有無を検討した結果, 5例中4例から得られた菌が, 1ないし2剤に対する耐性変異を示した. 年齢合併症, 薬剤耐性の有無などを考慮したRegimenを適応した結果, 短期間に菌陰性化がみられ, 3例に認めたらい反応に重度のものはなく, 良好な経過であった. 障害防止のためには, 早期治療がとくに重要であるため, 再発の早期発見には積極的に取り組む必要がある.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.57.89