人工炭酸泉浴の自律神経機能に及ぼす影響

I.緒言 温泉の効能・効果は古くから研究されているが, その効果のメカニズムについての詳細な解明はまだ不十分である. 近年, 温熱刺激による自律神経・内分泌系の調整が温泉浴の効果のメカニズムであるという報告1)や温泉浴が免疫系に影響を及ぼしているという報告2)3)がされている. 一方, 炭酸泉浴は強い血管拡張作用, 優れた保温性を有し, 古くから高血圧・心疾患・冷え症などに有用とされてきた. 炭酸塩と有機酸からなる人工炭酸泉浴も炭酸泉浴同様に, 高血圧, 冷え症, 腰痛症, 肉体疲労, 虚血肢, 神経痛, 肩こり等に対する効果が確認されている4)5)6)7). しかしながら, これらの効果は強...

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Published in日本温泉気候物理医学会雑誌 Vol. 63; no. 2; pp. 91 - 96
Main Authors 落合, 龍史, 西條, 一止, 時光, 一郎, 大崎, 紀子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本温泉気候物理医学会 2000
日本温泉気候物理医学会
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ISSN0029-0343
1884-3697
DOI10.11390/onki1962.63.91

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Summary:I.緒言 温泉の効能・効果は古くから研究されているが, その効果のメカニズムについての詳細な解明はまだ不十分である. 近年, 温熱刺激による自律神経・内分泌系の調整が温泉浴の効果のメカニズムであるという報告1)や温泉浴が免疫系に影響を及ぼしているという報告2)3)がされている. 一方, 炭酸泉浴は強い血管拡張作用, 優れた保温性を有し, 古くから高血圧・心疾患・冷え症などに有用とされてきた. 炭酸塩と有機酸からなる人工炭酸泉浴も炭酸泉浴同様に, 高血圧, 冷え症, 腰痛症, 肉体疲労, 虚血肢, 神経痛, 肩こり等に対する効果が確認されている4)5)6)7). しかしながら, これらの効果は強い血管拡張作用や優れた保温性だけでは単純に理由づけられず, 人工炭酸泉浴が自律神経機能に何らかの影響を与えているのではないかとも考えられる. また, 入浴が生体に及ぼす影響について自律神経機能に着目した場合, 浴中での変化を検討した報告はあるものの, 浴後の変化を検討した報告は少ない.
ISSN:0029-0343
1884-3697
DOI:10.11390/onki1962.63.91