頸部神経鞘腫における手術選択時期の臨床的検討

頸部神経鞘腫の取り扱いは,経過観察,手術,また手術を選択した場合の手術方法など一定の見解がない.経過観察をされている症例も存在するが,実際にはどの程度の大きさになったら手術を選択すべきかの明確な基準はこれまで存在しなかった.今回,2005年4月から2017年5月までの間に昭和大学頭頸部腫瘍センターで頸部神経鞘腫に対し被膜間摘出術を施行した63例を対象とした.適切な手術選択時期を検討するために腫瘍の最大径を10〜35mm(33例)と36〜79mm(30例)の2群に分けて検討したところ,術後の神経脱落症状の発生は36〜79mm群の方が優位に多く発生していた.このことから腫瘍の最大径が36mm以上に...

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Published in昭和学士会雑誌 Vol. 78; no. 5; pp. 520 - 525
Main Authors 粟倉, 秀幸, 倉澤, 侑也, 勝田, 秀行, 北嶋, 達也, 水吉, 朋美, 齊藤, 芳郎, 鴨志田, 慎之助, 池田, 賢一郎, 平野, 康次郎, 嶋根, 俊和, 内山, 美緒, 安藤, いづみ, 櫛橋, 幸民, 江川, 峻哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学学士会 2018
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ISSN2187-719X
2188-529X
DOI10.14930/jshowaunivsoc.78.520

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Summary:頸部神経鞘腫の取り扱いは,経過観察,手術,また手術を選択した場合の手術方法など一定の見解がない.経過観察をされている症例も存在するが,実際にはどの程度の大きさになったら手術を選択すべきかの明確な基準はこれまで存在しなかった.今回,2005年4月から2017年5月までの間に昭和大学頭頸部腫瘍センターで頸部神経鞘腫に対し被膜間摘出術を施行した63例を対象とした.適切な手術選択時期を検討するために腫瘍の最大径を10〜35mm(33例)と36〜79mm(30例)の2群に分けて検討したところ,術後の神経脱落症状の発生は36〜79mm群の方が優位に多く発生していた.このことから腫瘍の最大径が36mm以上になると術後に神経脱落症状を呈しやすく,この大きさが手術選択の一つの目安になると考えられた.自覚症状がないため経過観察を選択するだけではなく,十分なインフォームドコンセントのうえ手術を勧めることも患者のQOLの向上につながると考えられた.
ISSN:2187-719X
2188-529X
DOI:10.14930/jshowaunivsoc.78.520