グルタミン酸による消化管粘膜保護作用

「はじめに」消化管は, 摂取した食物の消化, 栄養素の吸収・代謝, 老廃物の排泄などを行う臓器であり, 中でも胃や小腸は消化・吸収に加え, 種々の消化管ホルモン分泌を介して代謝調節, 摂食調節に関与していることから, 言うまでもなく, 健康な日常生活を維持していく上で極めて重要な役割を担っている. これら消化管において, 世界的に患者数の多い代表的疾患として, Helicobacter pylori(ピロリ菌)誘起胃・十二指腸疾患(胃炎, 胃・十二指腸潰瘍, 胃がん, 胃MALTリンパ腫など)及び非ステロイド性抗炎症薬(Non steroidal anti-inflammatory drugs...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 131; no. 12; pp. 1711 - 1719
Main Authors 加藤, 伸一, 竹内, 孝治, 天ヶ瀬, 紀久子, 中村, 英志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.12.2011
日本薬学会
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ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.131.1711

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Summary:「はじめに」消化管は, 摂取した食物の消化, 栄養素の吸収・代謝, 老廃物の排泄などを行う臓器であり, 中でも胃や小腸は消化・吸収に加え, 種々の消化管ホルモン分泌を介して代謝調節, 摂食調節に関与していることから, 言うまでもなく, 健康な日常生活を維持していく上で極めて重要な役割を担っている. これら消化管において, 世界的に患者数の多い代表的疾患として, Helicobacter pylori(ピロリ菌)誘起胃・十二指腸疾患(胃炎, 胃・十二指腸潰瘍, 胃がん, 胃MALTリンパ腫など)及び非ステロイド性抗炎症薬(Non steroidal anti-inflammatory drugs; NSAID)誘起胃腸傷害(本稿では実際の損傷に焦点を絞る意味で, 「障害」ではなく「傷害」を用いる)が挙げられる. ピロリ菌感染は東アジア(中国, 韓国, 日本など)において特に高く(約7割, 注; 日本では昔と比べ, 衛生管理, 医療の進展など生活環境の改善に伴い, 減少傾向), 1) 慢性胃炎を経て, 胃・十二指腸潰瘍, 胃がんなどへ進行するが, 胃・十二指腸潰瘍, 胃がんなどに至る患者は感染者の中の極一部(約1-5%)である.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.131.1711