対人過敏傾向・自己優先志向が職業性ストレッサーを媒介として 抑うつに与える影響についての縦断的検討

2000年代以降,日本の臨床家によって従来のメランコリー親和型うつ病とは異なる特徴をもつ新しいタイプの抑うつ症候群の存在が相次いで報告されている。先行研究では新しいタイプの抑うつ症候群に特徴的な認知・行動の様式である対人過敏傾向・自己優先志向が報告され,これらの特性は対人ストレッサーを媒介として1 か月後の抑うつに影響することが示されている。そこで本研究では一般会社員を対象に対人過敏傾向・自己優先志向が職業性ストレッサーを媒介として後の抑うつに影響するか検討するため,会社員439名を対象とした縦断調査を行った。パス解析の結果,対人過敏傾向は「技能の活用度」を媒介とし抑うつに影響していた。一方,...

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Published inキャリア・カウンセリング研究 Vol. 25; no. 1; pp. 1 - 8
Main Authors 山川, 樹, 亀山, 晶子, 坂本, 真士, 村中, 昌紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本キャリア・カウンセリング学会 30.09.2023
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ISSN2436-4088
DOI10.34512/careercounseling.25.1_1

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Summary:2000年代以降,日本の臨床家によって従来のメランコリー親和型うつ病とは異なる特徴をもつ新しいタイプの抑うつ症候群の存在が相次いで報告されている。先行研究では新しいタイプの抑うつ症候群に特徴的な認知・行動の様式である対人過敏傾向・自己優先志向が報告され,これらの特性は対人ストレッサーを媒介として1 か月後の抑うつに影響することが示されている。そこで本研究では一般会社員を対象に対人過敏傾向・自己優先志向が職業性ストレッサーを媒介として後の抑うつに影響するか検討するため,会社員439名を対象とした縦断調査を行った。パス解析の結果,対人過敏傾向は「技能の活用度」を媒介とし抑うつに影響していた。一方,自己優先志向は「対人関係」を媒介として抑うつに影響していた。これらの結果から対人過敏傾向・自己優先志向は「技能の活用」および「対人関係」という職業性ストレッサーを媒介とし抑うつに影響するストレス生成モデルによる説明が可能であることが示唆された。
ISSN:2436-4088
DOI:10.34512/careercounseling.25.1_1