プロテオーム解析におけるリン酸化タンパク質の高感度分析法に関する基礎的検討とミエリン塩基性タンパク質への応用

従来タンパク質のリン酸化は, ラジオアイソトープ標識法やウエスタンブロット法を用いて研究されてきたが, 我々は質量分析法による高感度分析法の有効性について基礎的な検討を行った. まずリン酸化部位が既知の標準ペプチドやカゼインを用いて, Post-source decay モードによるMALDI-TOF質量分析を行い, セリンおよびトレオニンリン酸化ペプチド検出における有効性を確認した. しかしチロシンリン酸化ペプチドには, 必ずしも有効ではないこともわかった. 検出感度を上げるために, 市販のリン酸化ペプチドおよびリン酸化タンパク質濃縮キットの使用方法の最適化を行い, 有効性を確認した. さら...

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Published in生物物理化学 Vol. 49; no. 3; pp. 73 - 81
Main Authors 秋山, 翹一, 島田, 信子, 木村, 成道, 戸田, 年総
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本電気泳動学会 2005
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ISSN0031-9082
1349-9785
DOI10.2198/sbk.49.73

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Summary:従来タンパク質のリン酸化は, ラジオアイソトープ標識法やウエスタンブロット法を用いて研究されてきたが, 我々は質量分析法による高感度分析法の有効性について基礎的な検討を行った. まずリン酸化部位が既知の標準ペプチドやカゼインを用いて, Post-source decay モードによるMALDI-TOF質量分析を行い, セリンおよびトレオニンリン酸化ペプチド検出における有効性を確認した. しかしチロシンリン酸化ペプチドには, 必ずしも有効ではないこともわかった. 検出感度を上げるために, 市販のリン酸化ペプチドおよびリン酸化タンパク質濃縮キットの使用方法の最適化を行い, 有効性を確認した. さらに我々はこの方法をラットミエリンのミエリン塩基性タンパク質の分析に応用し, リン酸化ペプチドの高感度検出と, 新しいリン酸化部位の特定に成功した.
ISSN:0031-9082
1349-9785
DOI:10.2198/sbk.49.73