MLF症候群に対する斜視手術の治療成績
内側縦束(medial longitudinal fasciculus: MLF)症候群による麻痺性外斜視に対し当科で外眼筋手術を施行した9例(男性6例,女性3例,平均年齢57.1±17.1歳)を対象とし,患者背景,手術方法,治療成績を後ろ向きに検討した.原因疾患は脳血管障害が3例,頭部外傷が2例,脳腫瘍が2例,多発性硬化症が2例で,多発性硬化症の2例は両側性であった.治療目的は,9例中5例は複視消失,3例は整容目的,1例は頭位異常の改善であった.水平斜視単独は1例で,残りの8例には上下・回旋斜視の合併が見られた.手術方法は1例を除き,患眼の外直筋大量後転を主体に内直筋短縮を併用し,上下偏位の...
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Published in | 神経眼科 Vol. 41; no. 3; pp. 213 - 219 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本神経眼科学会
25.09.2024
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ISSN | 0289-7024 2188-2002 |
DOI | 10.11476/shinkeiganka.41.213 |
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Summary: | 内側縦束(medial longitudinal fasciculus: MLF)症候群による麻痺性外斜視に対し当科で外眼筋手術を施行した9例(男性6例,女性3例,平均年齢57.1±17.1歳)を対象とし,患者背景,手術方法,治療成績を後ろ向きに検討した.原因疾患は脳血管障害が3例,頭部外傷が2例,脳腫瘍が2例,多発性硬化症が2例で,多発性硬化症の2例は両側性であった.治療目的は,9例中5例は複視消失,3例は整容目的,1例は頭位異常の改善であった.水平斜視単独は1例で,残りの8例には上下・回旋斜視の合併が見られた.手術方法は1例を除き,患眼の外直筋大量後転を主体に内直筋短縮を併用し,上下偏位の矯正には下斜筋手術あるいは上下直筋手術を併用した.複視の5例中3例は手術で複視消失が得られた.複視が残存した2例は,1例で再手術を施行したが複視の消失は得られず,2例ともプリズム眼鏡で上下偏位の矯正を行い複視消失を得た.整容目的の3例中1例,頭位異常の1例は不成功となった.患眼の外直筋大量後転術は,眼位の改善に必須と考えられた.初回手術での成功は難しいが,最終的には9例中7例で目的を達成でき,積極的な治療対象と考えられた. |
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ISSN: | 0289-7024 2188-2002 |
DOI: | 10.11476/shinkeiganka.41.213 |