応答時間を指標とする漢字反復学習の進捗状態と事象関連電位の変化に関する研究

「1. まえがき」少子高齢化社会を迎えて, 子供の個性に応じた教育, あるいはユビキタス社会に対応するための職場教育, 知的好奇心の満足やスキルアップを目的とする教育など生涯に渡る教育の必要性が説かれ始めて久しい. このような社会的変化の中で学習者の個性に応じた教育が求められているが, 学習の進捗状態は個人によって異なるため, 個性に対応する教育を実現するには, 個別の学習進捗状態を客観的に把握する必要がある. 従来, 学習の進捗度は主に試験により測定されてきたが, 通常の学習の場で進捗度をチェックできれば, 試験を受けるという学習者の負担も減り, 個人の興味や関心に対応した教育環境が実現でき...

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Published in日本生理人類学会誌 Vol. 11; no. 2; pp. 55 - 67
Main Authors 渋川, 美紀, 船田, 眞里子, 二宮, 理憙
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本生理人類学会 2006
Japan Society of Physiological Anthropology
Subjects
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ISSN1342-3215
2432-0986
DOI10.20718/jjpa.11.2_55

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Summary:「1. まえがき」少子高齢化社会を迎えて, 子供の個性に応じた教育, あるいはユビキタス社会に対応するための職場教育, 知的好奇心の満足やスキルアップを目的とする教育など生涯に渡る教育の必要性が説かれ始めて久しい. このような社会的変化の中で学習者の個性に応じた教育が求められているが, 学習の進捗状態は個人によって異なるため, 個性に対応する教育を実現するには, 個別の学習進捗状態を客観的に把握する必要がある. 従来, 学習の進捗度は主に試験により測定されてきたが, 通常の学習の場で進捗度をチェックできれば, 試験を受けるという学習者の負担も減り, 個人の興味や関心に対応した教育環境が実現できると期待される. そこで著者らは, 学習しながら進捗度を客観的定量的に評価できる生理指標の考案を試みた. 認知科学の分野では学習とは「経験が後の行動に影響するようなかたちで『こころ』の中身に比較的永続的な変化を生じさせること」で, 「学習が成立するためには, 経験効果が時間を越えて存続しなければならず, 経験効果を存続させるものが記憶である」と定義している. さらに狭義の記憶の定義の一つに「『覚える』『思い出す』といった意図や意識を伴うもの」がありここでは, この定義を使用することにする1).
ISSN:1342-3215
2432-0986
DOI:10.20718/jjpa.11.2_55