北海道家庭生活総合カウンセリングセンターの電話相談にみる育児不安の変化 平成元年と平成12年の比較

「I はじめに」母親の育児ストレスや育児不安の要因については, 家族関係, 乳幼児の発達心理面, 世代間の差, 社会学的アプローチにいたるまでさまざまな調査研究がなされている1-16). また, 育児不安の根底にある親になるという親意識の役割の形成についての研究では, 親になることの幸福感や期待感といった肯定的なイメージとともに不安感や焦燥感といった否定的なイメージが抱かれるという心理葛藤が存在することが示唆されている7). その親意識の葛藤は, 母親のみならず父親にもあり, 双方とも親になった自分に対する認識のあり方が子育ての不安などの感じ方に影響するという研究もある8). また電話相談につ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inThe Japanese Journal of Mental Health Vol. 21; no. 2; pp. 72 - 80
Main Authors 善養寺, 圭子, 牧谷, 孝子, 長谷川, 理絵子, 村田, 忠良
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本精神衛生学会 2006
THE JAPANESE ASSOCIATION FOR MENTAL HEALTH
Online AccessGet full text
ISSN0912-6945
2186-0246
DOI10.11383/kokoronokenkou1986.21.2_72

Cover

More Information
Summary:「I はじめに」母親の育児ストレスや育児不安の要因については, 家族関係, 乳幼児の発達心理面, 世代間の差, 社会学的アプローチにいたるまでさまざまな調査研究がなされている1-16). また, 育児不安の根底にある親になるという親意識の役割の形成についての研究では, 親になることの幸福感や期待感といった肯定的なイメージとともに不安感や焦燥感といった否定的なイメージが抱かれるという心理葛藤が存在することが示唆されている7). その親意識の葛藤は, 母親のみならず父親にもあり, 双方とも親になった自分に対する認識のあり方が子育ての不安などの感じ方に影響するという研究もある8). また電話相談については, 相談から見えてきた「密室の育児」を背景に母親としての役割にたいする不安感についての報告9)や, 「電話相談における児童虐待」についての事例や対応についての報告がある10). しかし, 育児不安を訴える電話相談内容の変化の実態について検討された研究は少ない.
ISSN:0912-6945
2186-0246
DOI:10.11383/kokoronokenkou1986.21.2_72