悪臭に対する植物精油の消臭効果 : 生理的評価と主観評価の関係

「1 目的」環境や安全・快適性に関する意識向上から, 悪臭苦情件数は平成5年以降増加の一途をたどり, 平成13年には過去最高の23,776件となった1). これら背景を踏まえ, 環境庁は新しい考え方として「におい環境指針」を策定し, 「臭気環境目標」と「かおり環境目標」により, 行政や事業者が担うべき役割を提示している2). 特に高齢者施設等においては, 介護臭等臭気への対策が重要視されている. 対象となる臭気源は, 排せつ物や体臭で, 酢酸, イソ吉草酸, n-カプロン酸, ノネナール, アンモニア, インドール等が臭気成分として居室から検出されている3). 悪臭の消臭方法には, 感覚的中和...

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Published in日本生理人類学会誌 Vol. 11; no. 3; pp. 93 - 96
Main Author 櫻川, 智史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本生理人類学会 2006
Japan Society of Physiological Anthropology
Subjects
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ISSN1342-3215
2432-0986
DOI10.20718/jjpa.11.3_93

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Summary:「1 目的」環境や安全・快適性に関する意識向上から, 悪臭苦情件数は平成5年以降増加の一途をたどり, 平成13年には過去最高の23,776件となった1). これら背景を踏まえ, 環境庁は新しい考え方として「におい環境指針」を策定し, 「臭気環境目標」と「かおり環境目標」により, 行政や事業者が担うべき役割を提示している2). 特に高齢者施設等においては, 介護臭等臭気への対策が重要視されている. 対象となる臭気源は, 排せつ物や体臭で, 酢酸, イソ吉草酸, n-カプロン酸, ノネナール, アンモニア, インドール等が臭気成分として居室から検出されている3). 悪臭の消臭方法には, 感覚的中和・相殺作用による消臭法があり, におい物質の混合により隠蔽(マスキング)・相殺・変調が起こるとされている4). シオネール, イソ酪酸エチルは対象とする悪臭物質への適用範囲が比較的広く, 匂い質の調和性の高い硫化水素やメチルアミン等の悪臭物質は各芳香族成分にマスキングされやすい傾向が認められている5). 植物精油においても, 悪臭に対する感覚中和消臭作用について検討されている6)7). 臭気混合後の臭気質について強度や快不快度, SD法による印象分析を指標とした結果, イソ吉草酸に対してベルガモット精油やオレンジ精油に中和消臭機能が認められている7).
ISSN:1342-3215
2432-0986
DOI:10.20718/jjpa.11.3_93