肺癌と胃癌既往を有する悪性胸膜中皮腫の小腸転移穿孔の1例

症例は肺癌と胃癌の手術歴をもつ78歳の男性で,胃癌手術から2年4か月後の胸部CTで胸水貯留を指摘された.漸増するために胸腔鏡下胸膜生検を施行し悪性胸膜中皮腫,上皮型と診断された.三次までの化学療法と放射線療法が施行されたが病勢は進行した.緩和療法中に下腹部痛が出現し,造影CTで多量の腹水と腹腔内遊離ガス像を認め,消化管穿孔と診断し緊急手術を行った.腹腔内に混濁した腹水と腹壁に散在する白色結節を認めた.空腸に全周性の壁肥厚を伴う硬結を触知しその中心部に7 mm大の穿孔部を認め,小腸部分切除術を施行した.病理組織学的に悪性胸膜中皮腫の小腸転移による穿孔と診断した.悪性胸膜中皮腫の小腸転移報告は少な...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 52; no. 12; pp. 728 - 735
Main Authors 瀬戸, 泰之, 加藤, 洋, 淺井, 聖子, 佐伯, 典之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.12.2019
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2019.0007

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Summary:症例は肺癌と胃癌の手術歴をもつ78歳の男性で,胃癌手術から2年4か月後の胸部CTで胸水貯留を指摘された.漸増するために胸腔鏡下胸膜生検を施行し悪性胸膜中皮腫,上皮型と診断された.三次までの化学療法と放射線療法が施行されたが病勢は進行した.緩和療法中に下腹部痛が出現し,造影CTで多量の腹水と腹腔内遊離ガス像を認め,消化管穿孔と診断し緊急手術を行った.腹腔内に混濁した腹水と腹壁に散在する白色結節を認めた.空腸に全周性の壁肥厚を伴う硬結を触知しその中心部に7 mm大の穿孔部を認め,小腸部分切除術を施行した.病理組織学的に悪性胸膜中皮腫の小腸転移による穿孔と診断した.悪性胸膜中皮腫の小腸転移報告は少ないため報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2019.0007