下大静脈前面に孤立性のリンパ節再発を来した直腸癌の1例
症例は69歳の男性で,Stage IIIaの上部直腸癌に対し,低位前方切除を施行した2年半後に吻合部再発が出現した.この際の腹部CTにおいて,下大静脈前面に十二指腸水平脚に接して経時的に増大する2 cm大の辺縁整な腫瘤を認めた.FDG-PET/CT所見では下大静脈前面の腫瘤にFDGの有意な集積を認め十二指腸あるいは後腹膜由来の腫瘍である可能性も考え,まず吻合部再発に対して超低位前方切除,回腸人工肛門造設を行った.下大静脈前面の腫瘤は術後の超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診にて腺癌疑いの組織像であり,他に原発と考えられる臓器を認めなかったため直腸癌の転移再発と判断し,人工肛門閉鎖とともに腫瘍摘出術を施...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 54; no. 12; pp. 892 - 900 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.12.2021
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Subjects | |
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.2020.0184 |
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Summary: | 症例は69歳の男性で,Stage IIIaの上部直腸癌に対し,低位前方切除を施行した2年半後に吻合部再発が出現した.この際の腹部CTにおいて,下大静脈前面に十二指腸水平脚に接して経時的に増大する2 cm大の辺縁整な腫瘤を認めた.FDG-PET/CT所見では下大静脈前面の腫瘤にFDGの有意な集積を認め十二指腸あるいは後腹膜由来の腫瘍である可能性も考え,まず吻合部再発に対して超低位前方切除,回腸人工肛門造設を行った.下大静脈前面の腫瘤は術後の超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診にて腺癌疑いの組織像であり,他に原発と考えられる臓器を認めなかったため直腸癌の転移再発と判断し,人工肛門閉鎖とともに腫瘍摘出術を施行した.病理学的に直腸癌の転移として矛盾しない所見であった.下大静脈前面への孤立性転移はまれであるため報告する. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2020.0184 |