大腸癌術後再発と同時に認め診断に苦慮したPET偽陽性異物肉芽腫の1例
FDG-PET/CTは,癌の新規病変や再発病巣の発見に対する感度は優れているが,一方で偽陽性の症例が報告されている.症例は79歳の男性で,上行結腸癌に対して結腸右半切除術を行った.術20か月後の血液検査でCEAの上昇を認め,FDG-PET/CTで吻合部,右下腹部の腹壁に異常集積を認めた.下部消化管内視鏡検査で吻合部に再発所見は認めなかった.右下腹部の腹壁に腫瘤を認め生検を行ったが,病理組織像に悪性所見はなかった.再発の可能性が否定できなかったため,化学療法を施行した.24か月後に下部消化管内視鏡検査で吻合部再発が認められたため,吻合部切除を行い,あわせて腹壁腫瘤も摘出した.病理組織学的検査所見...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 52; no. 12; pp. 736 - 745 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.12.2019
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Subjects | |
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.2018.0145 |
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Summary: | FDG-PET/CTは,癌の新規病変や再発病巣の発見に対する感度は優れているが,一方で偽陽性の症例が報告されている.症例は79歳の男性で,上行結腸癌に対して結腸右半切除術を行った.術20か月後の血液検査でCEAの上昇を認め,FDG-PET/CTで吻合部,右下腹部の腹壁に異常集積を認めた.下部消化管内視鏡検査で吻合部に再発所見は認めなかった.右下腹部の腹壁に腫瘤を認め生検を行ったが,病理組織像に悪性所見はなかった.再発の可能性が否定できなかったため,化学療法を施行した.24か月後に下部消化管内視鏡検査で吻合部再発が認められたため,吻合部切除を行い,あわせて腹壁腫瘤も摘出した.病理組織学的検査所見で,吻合部再発が確認され,腹壁腫瘤は縫合糸による異物肉芽腫と診断された.今回,大腸癌術後に異物肉芽腫と吻合部再発を同時に認め,いずれもPETで陽性を示し診断に苦慮した1例を経験したので報告する. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2018.0145 |