離島における養育行動の時代差 子ども虐待予防の子育て環境構築の視点から

Iはじめに 我が国は世界に類のない急速な早さで, 近代化・都市化の歴史をたどってきており, 欧米の先進国が100年以上に渡って近代化に伴う課題を解決してきている事柄を短期間に体系的対応を迫られている問題も少なくない. それらの一つに子ども虐待maltreatmentがある. こども虐待の呼称はchild abuseからchild maltreatmentに変化したが, その要因は複数であり, 結果として子ども虐待が生じるというケースが殆どである(WHO, 2004). しかし, 保健医療の分野では子ども虐待を疾病モデルに基づいて対応しようとする考え方が根強く存在する(長田ほか, 2007;岡野...

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Published in民族衛生 Vol. 74; no. 3; pp. 99 - 113
Main Authors 上田, 礼子, 安田, 由美, 前田, 和子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本民族衛生学会 31.05.2008
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ISSN0368-9395
1882-868X
DOI10.3861/jshhe.74.99

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Summary:Iはじめに 我が国は世界に類のない急速な早さで, 近代化・都市化の歴史をたどってきており, 欧米の先進国が100年以上に渡って近代化に伴う課題を解決してきている事柄を短期間に体系的対応を迫られている問題も少なくない. それらの一つに子ども虐待maltreatmentがある. こども虐待の呼称はchild abuseからchild maltreatmentに変化したが, その要因は複数であり, 結果として子ども虐待が生じるというケースが殆どである(WHO, 2004). しかし, 保健医療の分野では子ども虐待を疾病モデルに基づいて対応しようとする考え方が根強く存在する(長田ほか, 2007;岡野, 2007;Versterdal, 1973). このモデルの限界は専門家などの努力にもかかわらずこども虐待は増加し続けていることに示されている. 2007年7月に我が国のこども虐待の件数は3万7343件で, 前年度より2871件の増加であり過去最多となったと報告された.
ISSN:0368-9395
1882-868X
DOI:10.3861/jshhe.74.99