保護責任者遺棄致死罪で起訴された被告人の性別が一般市民の量刑判断に与える影響

「問題と目的」児童虐待事件において, 女性の行為者は男性の行為者よりも軽い刑を科されることが複数の研究によって示されてきた(e.g., Banton & West, 2020). 現行法下では市民は裁判員として裁判に参与する可能性がある. そして, 刑事裁判においても両性が平等に扱われることは憲法上の要請である(憲法14条). したがって, 被告人の性別によるバイアスが市民に存在するとすれば, 裁判員としての参加を通じてバイアスが裁判結果に及ぼす影響を最小化する働きかけを考案する必要がある. しかし, そもそもこのような性別によるバイアスが日本でも見られるかはこれまで検証されていない....

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Published inパーソナリティ研究 Vol. 32; no. 3; pp. 138 - 140
Main Authors 岩谷, 舟真, 井奥, 智大, 貞村, 真宏, 松木, 祐馬, 向井, 智哉, 湯山, 祥, 綿村, 英一郎, 田中, 晶子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本パーソナリティ心理学会 31.01.2024
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ISSN1348-8406
1349-6174
DOI10.2132/personality.32.3.7

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Summary:「問題と目的」児童虐待事件において, 女性の行為者は男性の行為者よりも軽い刑を科されることが複数の研究によって示されてきた(e.g., Banton & West, 2020). 現行法下では市民は裁判員として裁判に参与する可能性がある. そして, 刑事裁判においても両性が平等に扱われることは憲法上の要請である(憲法14条). したがって, 被告人の性別によるバイアスが市民に存在するとすれば, 裁判員としての参加を通じてバイアスが裁判結果に及ぼす影響を最小化する働きかけを考案する必要がある. しかし, そもそもこのような性別によるバイアスが日本でも見られるかはこれまで検証されていない. そこで, 先行研究に従い, 女性の行為者は男性の行為者よりも短い刑が求められることを予測し, 検証する. また, 性別による効果は様々な形で説明されてきたが(Hanrath & Font, 2020), 本研究ではこれまでの説明で着目されてこなかった親子間の心理的距離認知に着目して, 量刑の性差が説明されうるかを検討する.
ISSN:1348-8406
1349-6174
DOI:10.2132/personality.32.3.7