金属イオンの特性を利用したリン酸化タンパク質の特異的認識と検出
1. はじめに 2003年4月, ヒトゲノム解析の完了が宣言され, 生命科学はゲノム情報を基にヒトの遺伝子機能を網羅的に解明していこうという時代(ポストゲノム時代)を迎えた. ヒトには2万数千個程度の遺伝子が存在することが明らかにされ, そこから生み出されるタンパク質はスプライシングや翻訳後修飾を受け, 何十万種にもなる. それらの機能を明らかにし, 複雑な生命現象を制御するタンパク質ネットワークの全体像を解き明かす研究(プロテオミクス)は, ポストゲノム研究の重要な課題である. プロテオミクスにより得られた情報は, がんや糖尿病などの多遺伝子疾患の原因究明や創薬, 並びに, 個別化診断・治療...
Saved in:
Published in | YAKUGAKU ZASSHI Vol. 127; no. 12; pp. 1897 - 1913 |
---|---|
Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本薬学会
2007
日本薬学会 |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0031-6903 1347-5231 |
DOI | 10.1248/yakushi.127.1897 |
Cover
Summary: | 1. はじめに 2003年4月, ヒトゲノム解析の完了が宣言され, 生命科学はゲノム情報を基にヒトの遺伝子機能を網羅的に解明していこうという時代(ポストゲノム時代)を迎えた. ヒトには2万数千個程度の遺伝子が存在することが明らかにされ, そこから生み出されるタンパク質はスプライシングや翻訳後修飾を受け, 何十万種にもなる. それらの機能を明らかにし, 複雑な生命現象を制御するタンパク質ネットワークの全体像を解き明かす研究(プロテオミクス)は, ポストゲノム研究の重要な課題である. プロテオミクスにより得られた情報は, がんや糖尿病などの多遺伝子疾患の原因究明や創薬, 並びに, 個別化診断・治療を行うテーラーメード医療の基礎となることが期待される. それゆえに, 多くの製薬企業や研究機関がその情報の蓄積にしのぎを削っている. プロテオミクスの中でも, リン酸化タンパク質の解析(リン酸化プロテオミクス)は医薬品開発の観点からも興味を集めている. タンパク質の可逆的なリン酸化反応は重要な翻訳後修飾の1つである. |
---|---|
ISSN: | 0031-6903 1347-5231 |
DOI: | 10.1248/yakushi.127.1897 |