医療費および通院日数からみた職域歯科保健活動の効果

職域における歯科保健活動の効果を把握するため,歯科および医科の「外来医療費(以下,医療費)」,「外来通院日数(以下,通院日数)」の追跡調査を行った。対象は,歯科保健活動を実施している某事業所の男性従業員357名である。1992年から1997年までの当該事業所での歯科保健活動への参加回数別に診療報酬明細書をもとに1992年から1998年までの歯科,医科の医療費累積値および通院日数累積値の追跡調査を行い,次の結果を得た。1.歯科保健活動への参加回数「2-3回」,「4-6回」群では「O-1回」群と比較して歯科医療費,歯科通院日数が少ない傾向にあった。2.歯科保健活動への参加回数「2-3回」,「4-6...

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Published inJOURNAL OF DENTAL HEALTH Vol. 51; no. 2; pp. 168 - 175
Main Authors 市橋, 透, 武藤, 孝司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 2001
日本口腔衛生学会
Japanese Society for Oral Health
Subjects
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ISSN0023-2831
2189-7379
DOI10.5834/jdh.51.2_168

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Summary:職域における歯科保健活動の効果を把握するため,歯科および医科の「外来医療費(以下,医療費)」,「外来通院日数(以下,通院日数)」の追跡調査を行った。対象は,歯科保健活動を実施している某事業所の男性従業員357名である。1992年から1997年までの当該事業所での歯科保健活動への参加回数別に診療報酬明細書をもとに1992年から1998年までの歯科,医科の医療費累積値および通院日数累積値の追跡調査を行い,次の結果を得た。1.歯科保健活動への参加回数「2-3回」,「4-6回」群では「O-1回」群と比較して歯科医療費,歯科通院日数が少ない傾向にあった。2.歯科保健活動への参加回数「2-3回」,「4-6回」群では「O-1回」群と比較して歯科を除く医科医療費,医科通院日数も少ない傾向にあった。3.総医療費では,歯科保健活動への参加回数「4-6回」群は「O-1回」群と比較して97年,98年には有意に少なく,総通院日数では「2-3回」,「4-6回」群は「O-1回」群と比較して少ない傾向にあった。4.本研究で行った一人当たり約20分間の歯科保健活動(口腔内診査,歯科保健指導,歯石除去)は汎用性が高く,歯科保健活動として有効な方法であると考えられた。以上のことから,職域における歯科保健活動の実施は歯科医療費,歯科通院日数だけでなく総医療費,総通院日数の抑制にも寄与し,その有用性が認められた。さらに,歯科と医科の関連性が示唆され,歯科保健指導も含めた総合的な健康教育の重要性が考えられた。
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.51.2_168