喉頭回転法を用いて超高位吻合を伴う喉頭温存頸部食道切除を施行しえた下咽頭浸潤を伴う頸部食道癌肉腫の1例

症例は61歳の女性で,内視鏡検査および生検にて,表在性下咽頭浸潤を伴う食道癌肉腫と診断した.造影CTでは転移の所見なく,CePh,cT1b(SM3)N0M0 Stage Iと診断,喉摘の可能性も説明したうえで手術の方針とした.全身麻酔下に彎曲型喉頭鏡を用いて腫瘍口側にマーキングを行い,手術は喉頭を回転し術野を展開しながらマーキング口側まで下咽頭を全周性に剥離し離断した.術中迅速病理診断で陰性を確認し,遊離空腸で再建し,喉頭温存手術を完了した.最終診断は食道癌肉腫CePh,fT1b(SM3)N0M0 Stage I.断端は陰性であった.術後声帯麻痺なく,1年間無再発で経過している.本邦9例の頸部...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 52; no. 3; pp. 146 - 156
Main Authors 了徳寺, 大郎, 東海林, 裕, 星野, 明弘, 山口, 和哉, 伊藤, 崇, 絹笠, 祐介, 川田, 研郎, 中島, 康晃, 久米, 雄一郎, 岡田, 卓也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.03.2019
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2018.0026

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Summary:症例は61歳の女性で,内視鏡検査および生検にて,表在性下咽頭浸潤を伴う食道癌肉腫と診断した.造影CTでは転移の所見なく,CePh,cT1b(SM3)N0M0 Stage Iと診断,喉摘の可能性も説明したうえで手術の方針とした.全身麻酔下に彎曲型喉頭鏡を用いて腫瘍口側にマーキングを行い,手術は喉頭を回転し術野を展開しながらマーキング口側まで下咽頭を全周性に剥離し離断した.術中迅速病理診断で陰性を確認し,遊離空腸で再建し,喉頭温存手術を完了した.最終診断は食道癌肉腫CePh,fT1b(SM3)N0M0 Stage I.断端は陰性であった.術後声帯麻痺なく,1年間無再発で経過している.本邦9例の頸部食道癌肉腫の報告中,手術症例は8例であった.本症例は,下咽頭浸潤陽性例での初の喉頭温存の報告である.腫瘍口側端の正確な評価による根治性の担保および,喉頭回転による術野の確保が喉頭温存に重要と考えられた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2018.0026