びまん性悪性腹膜中皮腫に対して腹膜全切除術および術中腹腔内化学療法を施行した1例
びまん性悪性腹膜中皮腫は本邦では切除不能と判断し,悪性胸膜中皮腫に準じた化学療法を施行することが多い.一方海外では,腹腔内に限局し末期まで遠隔転移することが少なく,腹膜切除が有効であると報告されている.症例は64歳の男性で,腹部膨満,下腿浮腫を認めた.造影CTで多量腹水,腹膜肥厚,大網肥厚・結節が指摘され,腹水細胞診で悪性中皮腫と診断された.全腹膜切除術(直腸,回盲部,脾臓,胆囊合併切除),回腸人工肛門造設術,腹腔内化学療法を施行した.手術時,腹膜,小腸間膜,結腸間膜,大網,小網にびまん性の小隆起病変(腹膜播種係数=26)を認めた.手術は減量切除スコア=0を達成した.術後は下痢,胃内容停滞を認...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 55; no. 2; pp. 115 - 123 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.02.2022
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Subjects | |
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.2020.0171 |
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Summary: | びまん性悪性腹膜中皮腫は本邦では切除不能と判断し,悪性胸膜中皮腫に準じた化学療法を施行することが多い.一方海外では,腹腔内に限局し末期まで遠隔転移することが少なく,腹膜切除が有効であると報告されている.症例は64歳の男性で,腹部膨満,下腿浮腫を認めた.造影CTで多量腹水,腹膜肥厚,大網肥厚・結節が指摘され,腹水細胞診で悪性中皮腫と診断された.全腹膜切除術(直腸,回盲部,脾臓,胆囊合併切除),回腸人工肛門造設術,腹腔内化学療法を施行した.手術時,腹膜,小腸間膜,結腸間膜,大網,小網にびまん性の小隆起病変(腹膜播種係数=26)を認めた.手術は減量切除スコア=0を達成した.術後は下痢,胃内容停滞を認めたが,第45病日で退院となった.術後補助化学療法は施行せず,その後食事摂取と筋肉量も改善した.1年10か月後に再発を認め,再発腫瘍切除および術中温熱化学療法を施行し,経過観察中である. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2020.0171 |