遅発性に十二指腸穿孔を生じ複数回の手術を要した外傷性膵十二指腸損傷の1例

外傷性膵十二指腸損傷において膵頭十二指腸切除(pancreaticoduodenectomy;以下,PDと略記)が必要となる症例は,重篤な全身状態を呈することが多く,複数回の手術が必要となることも少なくない.症例は39歳の男性で,大型ミキサーにはさまれ,胸腹部に多発外傷を負い当院へ救急搬送された.当初はdamage control surgery(DCS)を行ったが,遅発性に十二指腸壊死・穿孔を生じた.PDを行ったものの,著明な腸管浮腫のため,一期的な消化管再建が施行できず,膵管と胆管は完全外瘻とし,約18週後に消化管再建術を施行した.膵臓および胆管断端は瘢痕組織に覆われ,剥離後の再建による膵...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 52; no. 9; pp. 504 - 512
Main Authors 佐藤, 明史, 原田, 哲嗣, 乙供, 茂, 梶原, 大輝, 初貝, 和明, 市川, 宏文, 福富, 俊明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.09.2019
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2018.0162

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Summary:外傷性膵十二指腸損傷において膵頭十二指腸切除(pancreaticoduodenectomy;以下,PDと略記)が必要となる症例は,重篤な全身状態を呈することが多く,複数回の手術が必要となることも少なくない.症例は39歳の男性で,大型ミキサーにはさまれ,胸腹部に多発外傷を負い当院へ救急搬送された.当初はdamage control surgery(DCS)を行ったが,遅発性に十二指腸壊死・穿孔を生じた.PDを行ったものの,著明な腸管浮腫のため,一期的な消化管再建が施行できず,膵管と胆管は完全外瘻とし,約18週後に消化管再建術を施行した.膵臓および胆管断端は瘢痕組織に覆われ,剥離後の再建による膵液瘻の発生が危惧されたため,外瘻としていたtubeを空腸に内瘻化した.膵液漏の発生なく,自宅退院となったが,頻回の胆道感染や膵外分泌機能不全を生じたため,受傷日から591日目に消化管再々建術を行った.PD後の二期再建の報告は散見されるが,稀有な臨床経過をたどった貴重な症例と考え,ここに報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2018.0162