Oxaliplatinを含む大腸癌化学療法中に十二指腸静脈瘤を呈した2例

Oxaliplatin(以下,L-OHPと略記)の副作用として肝類洞障害があり,肝類洞障害による門脈圧亢進によって食道・胃静脈瘤を生じた症例が本邦でも報告されているが,異所性静脈瘤の報告は非常にまれである.我々は,L-OHPを含む化学療法中に十二指腸静脈瘤を呈した2例を経験した.両症例ともに十二指腸静脈瘤に対するinterventional radiology治療が奏効し,静脈瘤からの出血を回避しえた.L-OHPは切除不能進行再発大腸癌治療におけるkey drugの一つであるが,門脈圧亢進症状の発症に留意して治療に臨む必要がある.また,L-OHP治療中に併発した静脈瘤に対しては積極的治療が望ま...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 52; no. 1; pp. 67 - 75
Main Authors 永田, 健, 上野, 秀樹, 白石, 壮宏, 山本, 順司, 渡邊, 智記, 阿尾, 理一, 米村, 圭介, 山寺, 勝人, 神藤, 英二, 梶原, 由規
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.01.2019
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2017.0194

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Summary:Oxaliplatin(以下,L-OHPと略記)の副作用として肝類洞障害があり,肝類洞障害による門脈圧亢進によって食道・胃静脈瘤を生じた症例が本邦でも報告されているが,異所性静脈瘤の報告は非常にまれである.我々は,L-OHPを含む化学療法中に十二指腸静脈瘤を呈した2例を経験した.両症例ともに十二指腸静脈瘤に対するinterventional radiology治療が奏効し,静脈瘤からの出血を回避しえた.L-OHPは切除不能進行再発大腸癌治療におけるkey drugの一つであるが,門脈圧亢進症状の発症に留意して治療に臨む必要がある.また,L-OHP治療中に併発した静脈瘤に対しては積極的治療が望ましいと考えられた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2017.0194